与党における22年度税制改正に向けた議論が本格化している。併せて住宅・不動産業界の各団体も、関係各所への税制・政策関連の要望活動に注力。毎年恒例の動きとも言えるが、今年は特に住宅取得の負担軽減に関する項目が多いようだ。
▼市況を見る限り、住宅関連事業は比較的コロナ禍による悪影響の少ない分野と見られるものの、住宅取得検討者の側もそうとは限らない。企業の業績悪化による所得減などで購入を見送っている人も少なくはないだろう。そうした層もできる限り求める住まいを得られるよう、行政の支援を期待したいところである。
▼税制や補助、給付等による支援措置は一般的に、住宅関連に限らず、エンドユーザーの負担軽減だけでなく消費喚起による経済の活性化など複数の目的で設けられる。各措置の効果を極力高めるためには当然かもしれないが、時としてそれが施策の実態を不明瞭にしてしまうケースもあるように感じる。
▼例えば、最近何かと話題に上る「18歳以下給付金」「マイナポイント事業」が典型例だ。困窮者支援、子育て支援、格差是正、消費喚起と経済刺激、事業者支援、マイナンバーカード普及など、複数の目的軸が入り乱れて政策効果が見通しにくくなってはいないか。もちろん自然に並立する項目もあるが、税制度も含め、目玉となる施策では「唯一最大の目的」を明確化した設計にしてもらえると心強いものだ。