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住友林業 建設業界の脱炭素促進へ 7月からCO2算出ソフトを販売

 住友林業は昨年11月、フィンランドのOne Click LCA社が提供する建物のCO2排出量算出ソフトウェア「One Click LCA」の日本単独代理店契約を締結した。このソフトはライフサイクル全体の環境負荷を評価するもの。同社は2月にソフトの日本市場へのカスタマイズに着手、7月の販売開始を目指す。環境負荷低減のコンサルティングも行い、建設業界の脱炭素を促す。

 ソフトウェア「One Click LCA」は欧州を中心に約130カ国で利用され、世界の50種類以上の環境認証に対応。建物に関して原材料調達から加工、輸送、建設、廃棄時までのライフサイクル全体のCO2排出量(エンボディード・カーボン)を算出できる。

 汎用データや、製品製造の環境負荷を定量的に算定したEPD(Environmental Product Declaration)のデータを基に、部材の種類・数量から環境負荷を算出し、設計時からCO2排出量を把握できる。また、木造、RC造、S造など構造の違いによる環境負荷の差異が把握でき、資材製造、建設などライフステージごとのエンボディード・カーボンも確認できる。

 欧州各国ではエンボディード・カーボンの重要性が認識されているが、日本では居住時のエネルギー使用によるCO2排出量(オペレーショナル・カーボン)への取り組みが主流だ。同社は海外で開発事業を行う中で、環境負荷を把握するライフサイクルアセスメント(LCA)、エンボディード・カーボン算定・削減の重要性を実感。ソフトウェアの日本単独代理店契約に至った。2月以降、ソフトウェアを日本市場に適合するようにカスタマイズし、日本語でのカスタマーサポート体制の構築に着手。ソフト販売は7月の開始を目指す。料金は現時点で未定。

EPD取得を推奨

 より正確なCO2排出量測定のために、木材・建材メーカーに対して資材・部材のEPD認証の取得を働き掛ける。木材建材事業本部国内営業部営業推進グループの鈴木俊一郎シームマネージャーは「まだ国内ではEPDは普及していない状況だが、EPDの取得により、ソフトウェアと連携して商品をPRする機会が得られる。こうしたメリットを伝えながらEPD推進・拡大を図りたい」と説明する。

 更に、LCAコンサルティング事業にも乗り出す。LCA報告書作成業務の代行や、生産活動で生じたCO2を森林保全や再生エネルギー購入などで相殺するカーボン・オフセットに関する提案も行う方針だ。