国土交通省は2月22日、21年第4四半期版(22年1月1日時点)の「地価LOOKレポート」をまとめ、公表した。それによると、前期と比べ、下落および横ばいの地区数が減少し、上昇地区数が増加した。オミクロン株の感染拡大前の時点であったため、商業地などでの人出の回復などが影響したと見られる。
地価LOOKレポートとは、主要都市の高度利用地として全国100地区を対象に四半期ごとに実施し、先行的な地価動向を明らかにするもの。各地区の地価動向を9区分の変動率で評価する。住宅地ではマンションや高層住宅、商業地では高層の店舗や事務所など、建物や人口が密集することから比較的地価が高い傾向がうかがえる。
21年第4四半期の地価動向は、上昇地区数が55地区(前期比15地区増)、横ばい地区数が28地区(同2地区減)、下落地区数が17地区(同13地区減)となった。3%ごとに見る変動率区分が前期と同様となったのは70地区で、29地区で上方に移行、1地区で下方に移行した。上方に移行した地区の内訳は、横ばいから上昇(0~3%)への移行が15地区、下落(0~3%)から横ばいへの移行が14地区で、大半が商業地だった。いずれも東京圏、名古屋圏、大阪圏の地区が多く含まれており、同省地価調査課では「三大都市圏で緩やかながら回復傾向にある」と分析。札幌・仙台・広島・福岡の地方4市においても駅前再開発などを要因とした緩やかな上昇傾向である点を指摘した。
法人投資家の取引も
用途別に見ると、住宅地(計32地区)では上昇が30地区(同4地区増)、横ばいが2地区(同4地区減)となった。このうち柏の葉地区(千葉県柏市)、品川地区(東京都品川区)、立川地区(同立川市)、下鴨地区(京都市)の4地区が上昇に移行した。
商業地(計68地区)では上昇が25地区(同11地区増)、横ばいが26地区(同2地区増)、下落が17地区(同13地区減)となった。同課では「住宅地ではマンションの販売状況が堅調で上昇している地区が増加。商業地ではコロナの影響で下落している地区があるものの、店舗等の収益性が回復傾向にある地区や、法人投資家等による取引の動きが見られる地区で横ばいまたは上昇に転じたため」と説明。商業地の上昇が目立った要因については、新型コロナ変異株の感染拡大前につき、「緊急事態宣言等の発令もなく、人出の回復があったため」とした。また、法人投資家の取引が見られた商業地として、名古屋市栄南、同市金山、京都市京都駅周辺を挙げた。
同課では20年第4四半期以降、上昇(0~3%)の地区数が増加している一方、3%以上の上昇地区がないことから「緩やかな回復傾向にある」との見方を示唆。また、今年1月以降、オミクロン株の感染拡大が続いている点に触れ、今後の動向については注視が必要としている。