売買仲介

~畑中学 取引実践ポイント~ 不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編(24) ケア力が力強い推進力を生む「売買契約まで顧客の心理面をフォロー」

 購入申し込みを入れてから売買契約の締結までの間、やるべきことは数多くある。まず(1)資金計画の確定、(2)住宅ローンの事前審査、(3)売買契約書および重要事項説明書の作成とチェック、(4)建物状況調査などの各種検査、(5)リフォーム等の見積もり取得となる。

 おおむね購入申し込みを入れてから1週間以内に売買契約となるためスケジュールはタイトだ。(4)(5)はできないこともある。ただ、最も重要となるのが、(6)売主・買主の心理面のフォローだ。売主・買主が「売買契約を止めよう」とならないよう、売買契約へ向けて推進力を維持するフォローが必要だ。

 (1)資金計画の確定は当然だ。売主・買主とも売買価格が決まったこの段階で資金計画を確定させないと、本当に売買ができるかどうかが分からないからだ。何にいくらかかるか明確にして売主や買主と合意を得ておきたい。その上で買主の場合は、(2)住宅ローンの事前審査へと進んでいく。買主の属性がよほど良くない限り金融機関は複数申し込むほうが安全だ。1行だけだと万が一審査に落ちたら売買契約へと進めなくなるからだ。(3)売買契約書、重要事項説明書は一般的に売主側の宅建業者が作成して、買主側はそれをチェックすることになる。赤ペンを持って順に目を通していく。

 (4)建物状況調査や瑕疵保険検査、フラット35適合証明検査は売買契約前に行いたい。例えば建物状況調査で設備の故障が発覚したら売主に直してもらい引き渡しを受けたいのが普通の買主の心情だろう。建物の築年数が古かったり案内時に不安を感じたなら可能な限り売買契約前に調査・検査を行いたい。(5)リフォーム等を行う場合は見積もりを取得したいが、すぐには出てこないので、このときは概算額がどの程度になりそうかを把握しておこう。

 (6)売主・買主の心理面のフォローは上記の手続き以上に重要だ。売主は「もっと高く売れるのではないか」、買主は「もっと他に良い物件があるのではないか」「物件に何か問題があるのではないか」と売買契約が近づくにつれて多少なりとも不安を感じてしまうものだ。それを察して、売主には良い条件であることを、買主には他の物件と比べて希望条件にかなっていることを説明し、また質問にはどのような細かい内容にもしっかり回答をして「売買契約したほうがよい」と納得を得ておきたい。

 売買契約の直前は手続きで何かと忙しいので細かい質問は軽視しがちだが、放っておくと「何か都合が悪い内容ではないか」とうがった見方をされネガティブとなり、売買契約までたどりつかないことがある。売買契約の締結まで顧客の心理を注視して、ケアしながら推進力をもって話を進めていきたい。

【プロフィール】

 はたなか・おさむ=不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株) 代表取締役。

 2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。