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大言小語 乖離する現実と株高

 人手不足、インフレ、円安進行など経済を取り巻く環境は厳しい。その中で日経平均4万円台の過去最高値だ。バブル期は浮かれていたが、今、浮かれている人はいない。民間の調査会社によれば、倒産も増えている。コロナ禍のゼロゼロ融資で生き延びたものの、その間に利益を生み出す体質に会社を立て直すことができず若者を呼び込めない。

 ▼不動産業界に目を転じればマンション価格は高騰し、流通大手によれば東京都心の今年1~3月期の平均成約価格は約2.5億円と調査開始以来の最高値である。富裕層向けの不動産市場は絶好調だ。「Widening income gaps are behind the polarized market」。なにかしらの英字紙で、日本の住宅事情について、このような指摘をしていた。二極化市場の背景には所得格差の拡大がある、と外国人の目からも日本は既に一億総中流社会ではないと見られている。富める者はさらに富める。

 ▼7月7日は東京都知事選。今号発行時には都知事が決まっている。今は18歳から選挙権がある。そんな18歳が政見放送を見ていて「つまんねぇヤツだな~」「こいつユーチューブより面白れぇじゃん」「50人以上出ているが、まともな奴は少ねぇな」と斜に構えて政見放送を見て批評する。いつの時代も会社や先輩は〝昔はこうだった〟と言うものだが、昔の常識は今の非常識も……。政治も経済も若者の感性に期待したい。