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大言小語 今年も「豊かな住まい」を

 まもなく訪れる10月は、毎年恒例の「住生活月間」である。開催は今回で36回目。今年は香川県での実施となる「中央イベント住まいフェス」を始め、地方自治体や住宅関係団体等による催しが、全国各地で数多く開かれる。

 ▼住生活月間の各種イベントは、全国で軽く100件を超える。例年、その名称と概要を眺めていくと、住宅分野におけるトレンドがうかがえて興味深い。もちろん、耐震化や各種リフォーム、不動産取引関連などの〝定番〟も多いが、比較するとやはりテーマの傾向には変化がある。例えば、10年前には東北で「住宅再建相談会」が開かれていたし、20年前は「豊かな住まいづくり」というフレーズが多く目に留まった。

 ▼今年はというと、個人的な印象ではあるが、「空き家」というワードが圧倒的に多い。活用や管理、売買、相続等に関する相談ニーズの高さが見て取れる。そのほか、マンション管理・再生や高齢者向け住宅、居住支援といったテーマも増加傾向にあるようだ。総じて、人口減少・少子高齢化社会における課題への注目度が増していると言えよう。

 ▼同時に、「省エネ化」「賃貸住宅の性能向上」というテーマも広がりを見せている。課題解決型の活動は当然重要だが、より良い住宅を目指す意識も同様に大切だ。明文化されることが減っても、住まい手が「豊かな住まいづくり」を求める気持ちはなくならない。