日中は残暑の余韻を残しながらも朝晩はやはり冷え込むようになり、徐々に秋の気配が漂ってきた。秋といえば食欲、スポーツ、芸術、読書などと話題に事欠かないが、不動産業界に限っていえば毎年恒例、10月第3日曜日に必ずやってくる「宅建の秋」となる。10月は、受験者はひたすら受験勉強に集中しなければならず、会社の上役や経営者たちもたとえ宅建士ホルダーであっても他人事ではなく、受験する部下や仲間たちの合格を祈っていることだろう。
▼指定試験機関の発表によると、今年度試験は受験申し込み者が増加して久しぶりに30万人を超えた。「主任者」資格だった91年以来33年ぶりの大台超えという。バブル経済に沸いていた当時、地価急騰から不動産への注目が一気に高まり、「一億総不動産屋」という言葉が生まれたように一般人も多く宅建試験を受験した。その前々年の89年には日経株価が当時の最高値を付けるなど、地価が上向く今日の経済情勢とも共通点が多くなってきたと感じているのは自分だけだろうか。
▼試験日まで残すところ2週間弱。本紙の連載「宅建受験セミナー」も2週にわたって直前対策を掲載する。宅建資格が士業に格上げされて早くも10年近くになるが、不動産ニーズがますます多様化、高度化しているのに対し、業界のプロフェッショナルな人材不足は否めない。昨年度を上回る合格者が出ることを期待したい。