担当領域の関係で、賃貸住宅を取材する機会は限られてはいるものの、振り返れば、これまで〝賃貸住宅の常識を変えよう、イノベーションを起こそう〟といった事業者に取材をする機会が何度かあった。
▼10年近く前に取材した不動産コンサルタントが放った「車でも服でもレンタルを利用する際は、普段自分が使っているものよりも良いものを借りるもの。本来は家もそうであるべき。海外ではそれが当たり前なのに、どういうわけか、日本では、住宅に関しては〝賃貸住宅だから仕方がない〟といった妥協がまかり通っている」と言っていた。
▼先日取材した、外泊した日数に応じて家賃が変動するシステムもまた、毎月固定費として家賃を払う(受け取る)という〝常識〟への疑問から生まれた。入居者・オーナーの双方にとってメリットが生じるという。
▼これまで取材した物件の中には〝自分も住んでみたい〟といった物件もあったが、供給数や自分の懐事情などを鑑みると、多方面で満足度の高い賃貸住宅はまだ限られているだろう。一方、環境を配慮し省エネ性能の向上を求める動きは、集合住宅にも広がっており、賃貸住宅も例外ではない。快適性や場合によっては経済面で満足度の高い賃貸住宅に出会う可能性も高まりつつあるのかもしれない。物価上昇の中でオーナーには頭痛のタネでもあるだろうが、付加価値化の好機になってほしいものだ。