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大言小語 震災からの30年は

 1月17日で、阪神・淡路大震災から30年が過ぎた。確かそれ以前の関西では地震がそれほど身近ではなかったはずだ。「日本は地震の国」といわれるだけあって、少し前には北海道の地震が連日報道されていたし、各地で大きな地震は継続的に起こっていた。それにもかかわらず、北関東の親戚の家に滞在中、震度1か2程度の地震を何度か体験し「この程度の地震は割とよくある」と聞いて、驚いていた。今となっては現実感のなさに唖然とする。

 ▼特に神戸は水害の印象が強く、それまで、「鉄砲水は出るが地震は来ない」といった声も聞くほど、大雨や台風の心配はしても地震に遭う心配をしたことは皆無だった。震災はまさに、初めて身をもって知った〝未曽有の災害〟だったが、規模の大きさもさることながら、当時盲信していた〝常識〟がひっくり返ったことも衝撃の要因だったように思う。

 ▼当時は、衝撃の大きさを受け止めきれず〝こんな経験は一生に一度だ〟などと思ったものだ。その後、社会人になり、東日本大震災に遭遇し、直接体験したわけではなくとも、昨年元日の能登までの間にも、すぐには思い出しきれない程度には多くの地震が起こった。地震に限らず、これまで体験してきたはずの豪雨や台風も、体感的には、以前を上回っている。いつの間にか〝根拠のない安心〟こそが夢物語と思うようになった。今更ながら、〝備えよ常に〟が身に染みている。