年金不安・相続税改正に対応 資産として再発見! マイホーム活用術

資産として再発見! マイホーム活用術(5) Q4.マイホームを空家にした場合の税務リスク

・空家にしても固定資産税などの税金がかかる
・3年も空家だった住宅を売却すると譲渡税が高くなる
・空家で相続が開始すると、相続税が高くなる

有料老人ホームといった施設へ入所した際、問題になるのが、マイホームの扱いです。愛着もあって、施設などに入所した後も、いつか帰ってくることを前提に、マイホームを現状のまま、空家にする人が少なくありません。 

ただ、その場合、税務上、いろいろな問題が出てきます。

固定資産税等の問題

マイホームを持っていれば、必ず課税されるのが固定資産税です。一定の都市化した地域では、都市計画税も課税されることになります。

固定資産税では、マイホームの敷地については「住宅用地」の特例が適用され、税負担が軽減されます(⇒ Q3 参照)。都市計画税にも特例があります。

ただし住まなくなった空家を取り壊して更地にした土地は「住宅用地」にはなりません。つまり更地になると、固定資産税が6倍、都市計画税が3倍になる可能性があるのです。空家を取り壊す場合は、この税負担に注意が必要です。

譲渡税の問題

住んでいるマイホームを売却して利益が出た場合、譲渡税(所得税・住民税を含みます)の計算で、3,000万円を控除する特例が利用できます。ところが、空家にして3 年目の年末を過ぎてから売却して利益が出た場合には、利益から3,000万円控除する特例は使えません。
空家にしてから、いつかマイホームに戻るつもりで、思わぬ資金が必要になったとき、この特例を使えないと、後悔することになります。

相続税の問題

マイホームが空家の形で、相続が開始すると、相続税の計算上、不利になることがあります。

被相続人が住む住宅を同居の親族が相続すると、その敷地は居住用の宅地として小規模宅地の評価減の特例が適用できるため、相続税の課税対象額が8割引きの2割になります。
しかし、住んでいないと居住用の宅地にならないため、課税対象額が2割にならず、評価額そのままで課税されることになります。

税理士 本郷 尚 (ほんごう たかし) http://www.tactnet.com/

税理士法人タクトコンサルティング 代表社員
株式会社タクトコンサルティング  会長

昭和48年 税理士登録
昭和50年 本郷会計事務所開業
昭和58年 株式会社タクトコンサルティング設立
平成15年 税理士法人タクトコンサルティング設立
平成24年  株式会社タクトコンサルティング 代表取締役を退任し、会長に就任

不動産活用・相続・贈与・譲渡など資産税に特化したコンサルティングを展開。
資産税を軸足とした税理士として、執筆、講演に注力。


【主な著書】
「継ぐ」より「分ける」相続―45歳を過ぎたら“相続適齢期”(タクトコンサルティング)
心をつかめ!コンサルタント(住宅新報社)
ほんもののコンサルタントになる本―プロは勝ちより価値にこだわる (能力開発シリーズ)(住宅新報社)
がんばれ大家さん!(タクトコンサルティング)
生前相続―発想を変えれば人生が変わる(文芸社)
女の相続―Six stories(文芸社)
改訂とっておきの相続(タクトコンサルティング)
不動産M&A入門 (図解不動産業)(住宅新報社)