・貸家の相続では、空家で相続するより敷地の相続税が安くなる
・貸家の建物の相続税評価額が3割安くなる
敷地の評価額のメリット
マイホームを貸家にして、相続人がその貸家の土地建物を相続して貸家の事業を継続した場合には、相続税の計算上、貸家となった敷地の課税対象額が軽減されます。
敷地の評価額が貸家建付地として低くなります。
土地の相続税評価額は、路線価を基にした敷地の評価額です。貸家の敷地の評価額は、その地域の借地権割合と借家権割合を乗じて求めた値の割合だけ、路線価の評価額から減額されます。たとえば都市部の場合、借地権割合は70%、借家権割合は30%というケースが少なくありません。そうすると70%×30%=21%分低くなるわけです。
貸家建付地の相続税評価額 = 路線価評価 ×(1- 借地権割合 × 借家権割合))
敷地の課税対象額は、貸家建付地としての評価額の50%になります。
貸家の敷地は200㎡まで、貸付事業用宅地として小規模宅地の評価減の特例の適用により、課税対象額が50%減額されます。この結果、貸家建付地の評価額と小規模宅地の評価減の相乗効果で、何も建っていない更地に比べ、貸家の敷地の課税対象額はおよそ6割程度低くなります。
建物の評価額のメリット
自宅の建物の相続税評価額は、固定資産税評価額になります。
これに対し貸家の場合には、建物の固定資産税評価額から借家権割合に見合う金額が減額されます。
このように、マイホームを貸した場合には、空家にするよりも相続税対策になります。
税理士法人タクトコンサルティング 代表社員
株式会社タクトコンサルティング 会長
昭和48年 税理士登録
昭和50年 本郷会計事務所開業
昭和58年 株式会社タクトコンサルティング設立
平成15年 税理士法人タクトコンサルティング設立
平成24年 株式会社タクトコンサルティング 代表取締役を退任し、会長に就任
不動産活用・相続・贈与・譲渡など資産税に特化したコンサルティングを展開。
資産税を軸足とした税理士として、執筆、講演に注力。
【主な著書】
「継ぐ」より「分ける」相続―45歳を過ぎたら“相続適齢期”(タクトコンサルティング)
心をつかめ!コンサルタント(住宅新報社)
ほんもののコンサルタントになる本―プロは勝ちより価値にこだわる (能力開発シリーズ)(住宅新報社)
がんばれ大家さん!(タクトコンサルティング)
生前相続―発想を変えれば人生が変わる(文芸社)
女の相続―Six stories(文芸社)
改訂とっておきの相続(タクトコンサルティング)
不動産M&A入門 (図解不動産業)(住宅新報社)