年金不安・相続税改正に対応 資産として再発見! マイホーム活用術

資産として再発見!マイホーム活用術(15)Q14 複数の賃貸住宅投資で遺産分割も織り込む

・複数のマンション等にすると遺産分割しやすい
・相続税対策にもなりやすい

先の相続を見越して、実家などの財産をより分けやすい形に財産を組替えることも良い考えです。大きな宅地を売って、自分のお住まいのマンションと、賃貸マンションなどを数戸買うことにすれば、マンションの建物の評価額は取引価格に比べかなり控えめです。土地の部分は持分が小さいだけに、評価額が多額になって心配になることはないでしょう。
相続で子供世代への資産を移転するとき、遺産の分割が当然に予想されます。そこで、相続後の遺産分割を想定し、実家の資産組替えを検討することがよく行われています。
特に実家が広い場合には、奥さまだけが一人で住むのもたいへんでしょう。安全、防犯面からも心配がないとはいえません。
そこで、次世代への資産の移転を想定して、実家の資産組替えのプランを考えてみましょう。
マンションの建物の相続税評価額は固定資産税評価額で、取引価格の時価より、かなり控えめに評価されます。1棟30戸以上の平均的なマンションの土地の持分は戸建て住宅よりはるかに小さくなります。よって一戸建て住宅より、相続税評価の面で有利な場合が少なくありません。
また、こうしたマンションを賃貸にすると、建物は借家権割合を斟酌して3割引になるほか、土地は貸家建付地となるうえ、貸付事業用の小規模宅地として評価減50%の適用も可能でしょう。
ただし資産組替え時の売却に係る税金については、しっかり見極める必要があります。お住まいだった場合には3,000万円控除が利用できるほか、夫からの相続直後であれば、納付した相続税額について取得費加算の特例が利用でき、資産組替えも有利に進めることができます。

税理士 本郷 尚 (ほんごう たかし) http://www.tactnet.com/

税理士法人タクトコンサルティング 代表社員
株式会社タクトコンサルティング  会長

昭和48年 税理士登録
昭和50年 本郷会計事務所開業
昭和58年 株式会社タクトコンサルティング設立
平成15年 税理士法人タクトコンサルティング設立
平成24年  株式会社タクトコンサルティング 代表取締役を退任し、会長に就任

不動産活用・相続・贈与・譲渡など資産税に特化したコンサルティングを展開。
資産税を軸足とした税理士として、執筆、講演に注力。


【主な著書】
「継ぐ」より「分ける」相続―45歳を過ぎたら“相続適齢期”(タクトコンサルティング)
心をつかめ!コンサルタント(住宅新報社)
ほんもののコンサルタントになる本―プロは勝ちより価値にこだわる (能力開発シリーズ)(住宅新報社)
がんばれ大家さん!(タクトコンサルティング)
生前相続―発想を変えれば人生が変わる(文芸社)
女の相続―Six stories(文芸社)
改訂とっておきの相続(タクトコンサルティング)
不動産M&A入門 (図解不動産業)(住宅新報社)