いよいよ10月に入りました。本番まで残りわずかのこの時期に、住宅新報社が受験生の皆さまにお役にたてることはないか――。そう考えて、このページをつくりました。
法律学習を楽しくする天才――高橋克典先生(『試験に受かる! 法律のカンタン思考術』著者)が、とっておきの学習法をレクチャーします。目からうろこのアイディアで、限られた時間の有効な使い方がみるみる身に付きます。
高橋先生のコラムで準備ができたら、問題演習にGO! 最後まであきらめずにチャレンジし、合格の栄冠をつかみとってください!
(住宅新報社・編集部一同)
高橋 克典(たかはし かつのり)
行政書士試験のほか、宅建、司法書士、公務員、マンション管理士、管理業務主任者等の講師としても活躍中で、企業・大学・専門学校などにおける講義で人気を博す。「タクト総合研究所」代表。
著書に、「試験にうかる!! 法律のカンタン思考術」「パーフェクト行政書士 入門書」「パーフェクト行政書士 過去問題集」(住宅新報社)、宅建110番シリーズ「スイスイLIVE講義」「過去問 勝利の公式」「1問1答 公式暗記ドリル」(三省堂)、宅建LIVE講義「民法編」「宅建業法編」「法令上の制限編」「税法鑑定関係編」(中央経済社)、「宅建解法テクニック10の法則」(三修社)、「すぐわかる資格ガイド宅建主任」(日本経済新聞社)などがある。
●第5回 ほかの試験の出題から 今年の出題を大予測!
“今年はどういう問題が出題されるのか”を予想するとき、その年のほかの国家試験の出題例をチェックします。その年の出題者側の意識はどこにあるのか、それを伺わせるヒントになるからです。
そこで、つい先日本試験があった宅建試験の民法の出題から、大胆に予想をしてみましょう。
さて、可能性ある論点は……。
☆第1は、民法826条所定の利益相反する行為にあたるか否かは、当該行為の外形で決すべきであって、親権者の意図やその行為の実質的な効果を問題とすべきではない(判例)
↓
「親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協議をすることは、かりに親権者において数人の子のいずれに対しても衡平を欠く意図がなく、親権者の代理行為の結果数人の子の間に利害の対立が現実化されていなかったとしても、同条2項所定の利益相反する行為にあたるから、親権者が共同相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議は、追認のないかぎり無効である」とした判例。
☆次に、問題から一つ、「債権者が抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要があるが、対象不動産に関して発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要がない。」 →答えは×で、それは後半についても「必要がある」からです。
☆また、弁済による代位の効果を規定する501条はぜひ見ておきましょう。
特に、「5号-保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。」→要注意かな
☆保証人は、原則として、黙示更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべき、とする判例。
☆賃貸家屋の破損、腐蝕の状況が居住に著しい支障を生ずるほどでないような場合には、賃借人は賃貸人の賃貸家屋修繕義務の不履行を理由に賃料全部の支払を拒むことができない、とした判例。
☆推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合「相続させる」旨の遺言は無効とする、とした判例。
※なお、「相続させる」旨の遺言は、遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定し、当該遺産が遺言者の死亡の時に直ちに相続により当該推定相続人に承継される効力を有するもの
以上、出題される可能性があると予測します。
さて、今週末はいよいよ本番です。皆さん、リラックスして悔いのないよう力を出し切ってください。皆さんの努力が実を結ばれることを祈っています!