不動産会社は知らない!?不動産オーナーの胸のウチ

台湾人投資家、民泊に興味。オフィス・店舗など商業用不動産にも食指伸ばす

アベノミクスと東京オリンピック開催が決定したあとに注目を集めた台湾の個人投資家だ。
対日不動産投資を行う、いわゆるインバウンドの投資家は、日本の個人投資家とは、少し異なる目線で物件を購入しているのが理由である。

具体的には、彼らは東京を中心に大阪や京都など大都市・観光地をターゲットに、分譲マンションや店舗ビルを買い上げて運用しているという。

台湾最大手の不動産会社、信義グループの日本法人である「信義房屋不動産」(東京都渋谷区)はそうした投資家の窓口。同社の顧客の90%は台湾人だ。何偉宏(カ・ウェイホン)社長に現状の台湾人の対日投資動向について詳しい話を聞いた。

信義房屋不動産の何偉宏社長

何社長によれば、台湾人投資家が日本の不動産を購入する理由は、「日本のマンションの品質の高さに加えて、安定した資産価値の上昇に着目しているため」。その他、安定した政情と、1ドル・113円程度と再び安定した為替に対する安心感も購入を後押ししているという。

何社長によれば、新たな顧客の取り扱いが毎年増えているだけでなく、リピーターによる買い増し需要も強く、リピーターとの取引は全体の3割を占めている。「台湾人の対日投資熱は依然冷めていない」のだ。

実際、同社の2017年1~12月期の成約件数は前年比25%アップの400件(取扱高250億円)を見込んでいる。

今年の特徴は、「台湾から来日して投資物件を探す人のほかに、日本に定住・在住している台湾人が積極的に買っている」こと。定住台湾人は、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の投資用物件ほか、居住用として職場や子どもの学区の近くの物件も買い求める傾向があるそうだ。

ところで、最近の物件価格の高騰は、台湾人にとっても購入しにくい環境にあると言えるのではないのだろうか。その点について、何社長は次のように語る。

「販売価格が上がっているものの、貸し出す際の賃料水準も上昇している。もともと台湾人の不動産買いは、資産価値を重視しているので価格が上がることにあまり抵抗感は持っていない。現状の不動産価格の上昇は、説明できないようにものではなく心配はしていない」

一方で、日本の物件を売却する台湾人投資家もいないわけではない。

「東京五輪開催が決まったあとに湾岸エリアの分譲マンションを購入した人たちを見ると、2~3年前に購入した人は持ち続けているケースが多く、5年ほど保有・運用した人が売り出している印象だ」

アベノミクス始動時の物件は、売却益が比較的大きく得られることでいったん換金し、その資金を再投資しているという。投資エリアの変更など、資産ポートフォリオを組みなおすケースで、「日本の不動産市場から撤退する」との声は聞かれないそうだ。

台湾人が購入する不動産はマンションとは限らない。店舗や中小オフィスビル、ホテルといった商業用不動産もターゲットとなる。

「最近の顧客の動きとして、商業用不動産を好んで購入する傾向が強まっている。安定した賃料上昇に伴うインカムゲインに魅力を感じているためだ。1物件当たり1億円から10億円未満のものを買い求める人が中心だが、中には最大20億円クラスの物件を購入した個人投資家もいた。今年の取引事例として、一棟のシェアハウスを仕入れたところ、1カ月も経たないうちに個人投資家が購入していったというものもあった」

さらに言えば、民泊新法の施行を控えていることにも注目が集まっているという。もちろん、民泊物件の運用者側として、である。

「問い合わせの多さからも、投資家が大変興味を持っていることを実感している。とりわけ東京と京都に着目しているようだ。しかし、分譲マンションは管理規約等で制限されることが多いと分かっているので、彼らは賃貸マンション1棟を購入して民泊向けに対応している」

日本のマンションの品質は、台湾人だけでなく中国本土を含めた中華圏全体で評価が高い。そのため、何社長は、「中華圏全体の需要を取り込むため、来年4月に日本法人としての支店を香港に出して対日不動産投資を掘り起こす」ことを計画中。日本国内でも昨年の大阪支店出店に続き、アジア圏に近い福岡市にも近く拠点を構える予定があるという。

何社長の話から、今後も東アジア圏、とりわけ中華圏からの投資マネーの流入が予想される。海外勢の旺盛な需要が、日本の不動産投資マーケットを引き続き下支えしていくという見方もできそうだ。

(参照:健美家不動産投資ニュース


健美家( けんびや )は、国内最大級の不動産投資専門サイトです。 収益物件の紹介、著名な不動産投資家によるコラム、全国の大家さん のブログ (日記) 集、セミナー等の様々な情報を提供しています。 ⇒https://www.kenbiya.com/