ある投資家の事例を紹介しよう。
元お笑い芸人で、現在はIT企業で営業マンとして働く富沢ウメ男さん(仮名)は、最近、練馬区内にある一階が店舗(元美容院)で二階が住宅という60㎡ほどの小さな店舗付戸建を購入した。
出会いは数年前、1,080万円で売りに出ていた時に500万円で買付を入れたが、受け入れられず、売り止めに。時が経ち再販で750万円になって出てきたところに、550万円で指値を入れ、今度は無事に購入できたという。融資は某信販系カード会社の事業者用ローンを利用できた。
固定資産税評価額は900万円あるこの物件がここまで安くなった理由について、富沢さんは「築年数が古く、場所も商店街の中ということで、他の人はどう使っていいのかイメージがわかなかったのだろう」と分析する。つまり、アパートやマンションを必死で探している投資家も、店舗にまでは触手を伸ばしていないということだ。
実は、富沢さんはこの物件以外にも、店舗付き住宅を複数所有している。「店舗は融資が付け難いので、購入希望者が減って安くなる傾向がある。その一方で、反対に住宅兼用の店舗を探している自営業者の方は意外と多い。家と店を両方借りられて10万円なら安いと受け止められるため、ニーズは強い」のがその理由だ。
その証拠に、この物件も、9.8万円で募集をスタートしたところ、すぐに申し込みが入ったという。しかも、残置物撤去、畳の交換、丁寧な掃除をしただけで、リフォームはナシの状態でというから驚きだ。
もちろん、店舗付き戸建にもデメリットはある。最も大きな点は、「場所を間違えると住居に比べて空室期間が長引く」ということ。富沢さんはこのリスクについて、「店舗部分を改造すればガレージになる物件を選ぶことで、店舗が埋まらなければガレージ付き住居として貸し出すという戦法をとっている」という。
富沢さんによれば、このような店舗付き戸建は、マニアックな投資家の間では、昔から人気があるのだとか。この物件を富沢さんに仲介した不動産会社の担当者も、実は店舗付き戸建を複数所有しており、決済の後は二人で「店舗付き戸建が儲かる話」について、語り合ったのだそうだ。
高値が続く現在の市場だが、投資家たちの購入意欲は衰えていない。融資付けの難しさというハードルはあるものの、鼻の利く不動産投資家たちが、この時代に高利回りが狙えるお得な物件として、店舗付き戸建の魅力に気づく日は、そう遠くないのかもしれない。
(参照:健美家コラム)
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