出典:国土交通省
■オーナーには補助金も
そうした住まいを探すのが困難な人(住宅確保要配慮者)のための支援措置など、住宅セーフティネット機能を強化した「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」の一部を改正する法律が、2017年10月25日に施行された。
改正法では、①都道府県・市区町村による住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の供給促進計画の策定、②賃貸人が住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として都道府県・政令市・中核市に登録、③都道府県等が登録住宅の開示・賃貸人の指導監督――の3つの枠組みを設けている。
この制度の普及に向けて、国は賃貸住宅の登録推進のための支援策を2つ用意している。1つは登録住宅の改修に対する支援措置、もう1つは低所得入居者等の負担軽減のための支援措置である。
住宅セーフティネット図(出典:国土交通省)
前者は、高齢者や障がい者が使いやすい住宅にするため、オーナーが行う改修に補助を出す。補助の対象となる改修工事は、バリアフリーや耐震改修、用途変更などだ。その補助率を見ると、補助金の場合、国が直接3分の1を補助し、交付金の場合は国の1/3+地方の1/3となっている。
後者は、住宅セーフティネットに対応した専用住宅として登録している賃貸住宅を対象に、入居者が安く住宅を借りられるように補助を出す。①家賃低廉化に要する費用として月額1戸当たり国費上限2万円を補助、②入居時の家賃債務保証料では1戸当たり国費3万円を上限としている。
■国が目標とする登録住宅数への到達はほど遠い?
ところが、施行から半年以上が経過した現在、制度の普及が進んでいるとは言い難く、2020年度末までに17万5000戸の登録を目指すという国の目標にはまだまだ及ばないのが現状だ。課題としては、賃貸物件のオーナーにこの制度の存在があまり知られていないことなどが挙げられる。
そこで国土交通省は登録の促進を狙い、申請手続きの簡素化を7/10に公布・施行。これにより、申請書の記載事項や添付書類等が大幅に削減された。賃貸物件のオーナーの負担を減らすことで、目標に少しでも近づけたいという狙いだ。
全国的に空き家が問題となり、空き家数は2013年時点で820万戸、現在はさらに増えていると言われる。この空き家のうち4割は、賃貸物件とみられる。民間の住宅ストック(空き家)を有効に利用して、リーズナブルな住宅の供給量を増やし、誰もが安心して生活できる環境を整備することは、これからの日本における重要な政策課題といえるだろう。
参照:国土交通省セーフティネット住宅
参照:セーフティネット住宅の申請手続き簡素化により、登録が迅速に!
(参照:健美家ニュース「高齢者など住宅確保要配慮者を敬遠せず、国・地方自治体の補助制度を使い安心・安定の賃貸経営も」)
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