日本政府観光局(JNTO)の9月18日の発表によると、8月の訪日外国人旅行者数(推計値)は前年同月比2.2%減少の252万100人で、北海道胆振東部地震や台風第21号の影響でマイナスとなった18年9月以来、11カ月ぶりに前年同月を下回った。
訪日客数が失速した最大の要因は、韓国からの旅行者が同48.0%減の30万8700人とほぼ半減したことだ。この規模の韓国訪日客数減少は東日本大震災の発生した11年以来で、同年4月(同約66%減)、5月(同約58%減)に次ぎ、3月(同約47%減)に匹敵する。政治・経済における日韓情勢悪化の影響が、観光分野にも如実に表れる結果となった。
同日に会見した田端浩観光庁長官によると、「(前月でも見られた)団体旅行のキャンセルに加え、7月から続く日本への個人旅行控えと新規旅行予約減少の影響」が本格化した様子がうかがえる。「韓国のアウトバウンド自体の鈍化や他国とのインバウンド競合」(田端長官)なども要因となったものの、今後も韓国の航空会社による日韓間航空便の運休などが予定されており、改善の兆しは見えない。
また香港についても、逃亡犯条例改正案に端を発する大規模デモなど抗議活動の影響により、訪日客は19万300人(同4.0%減)と減少が続いている。
一方、中国からの訪日客は好調だ。100万600人(同16.3%増)と大幅な増加で、前月に続き2カ月連続の単月100万人超を記録した。またベトナム(4万3700人、同27.7%増)やフィリピン(3万1500人、27.5%増)、インド(1万3300人、同26.6%増)、ロシア(8300人、23.3%増)、シンガポール(1万9700人、同20.6%増)など、東南アジアを中心に大きな伸びを見せた国・地域も多い。
とはいえ、絶対数の多かった韓国からの訪日客が約半分へと激減した影響は大きく、全体では前年同月比マイナスとなった。
田端長官はこうした結果を受け、「日韓関係に様々な課題がある中でも、観光分野での協力はしっかり進めていくことを両国の担当行政機関、民間事業者の間で確認している。人的交流こそ相互理解の柱であり、今後も日本の魅力発信とリピーターの取り込みに注力していく」として、事態の改善を図る考え。また20年に訪日客4000万人という政府目標の達成に向けては、「幅広い国からの観光客誘致も重要なため、今後の伸びが期待できる欧米豪へのプロモーションを強化すると共に、引き続き観光コンテンツの充実化など受け入れ環境の整備を進めていく」と方針を述べた。
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