大和ハウス工業と大和リビング、エネルギー事業を手掛けるサンワ(群馬県前橋市、遠藤宗司社長)の3者は、サンワが事業主となる新築賃貸住宅「(仮称)エコンフォート前橋駒形」(群馬県前橋市、総戸数16戸)で、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に向けた実証実験を12月27日に開始する。
雨天時でも約10日間の停電に対応できる「全天候型3電池連携システム」と、カーボンニュートラルLPガスを全戸に採用。設備のエネルギー供給状況・稼働率、余剰電力量のデータを集積し、分析・評価を行う。期間は25年12月26日まで。
同物件は、全戸ZEH仕様かつ住棟単位でZEH―Mの基準を満たし、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」による第三者認証を取得。全戸の窓に高性能断熱材や複層ガラスを採用することなどで建物全体の断熱性能を向上させたほか、エネファームやLED照明などの高効率設備を導入。屋上には発電出力1戸あたり4kW分の太陽光発電システムを搭載したほか、1戸あたり5.4kWhのリチウムイオン蓄電池に蓄えることで夜間や停電時にも利用できる。
実証実験で採用する「全天候型3電池連携システム」は、太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を大和ハウス工業が開発した切換盤で連携することで、停電時の電力と給湯を確保すると共に、通常時における光熱費の削減を可とする。また、カーボンニュートラルLPガスは、原料採取や最終利用までの全過程で排出されるCO2を環境保全活動で差し引き、実質排出量「ゼロ」としたプロパンガス。これらの採用により、一般的な賃貸住宅と比べ、CO2排出量収支を200%削減する見通しだ。
同物件は、敷地約1983.8平方メートルに、52.51~64.46平方メートルの2LDKからなる総延べ935.78平方メートルの2階建て2棟。7月に着工し、12月6日に竣工を予定している。
脱炭素や最適なエネルギー設備の運用、エネルギー制御システムの改善・開発、導入コストの削減などを検証することで、最適な提案・技術的な進展と共に、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化を目指す。