不動産売買の売り主集客に特化したDXコンサルティングサービスを提供する流導(大阪府吹田市)は、不動産会社と住宅会社向けのイベント「キムラフェス」を大阪市内で開催した。売り主と買い主を集客するために無料動画配信サービス「YouTube」を活用する方法を考え、また、試行錯誤を重ねて成果につなげている実践方法を紹介した。
不動産内見ユーチューバーで登録者数8・6万人を超える「不動産屋ラムエイチャンネル」を運営するラムエイ(家村将矢)氏は、「ルームツアーの紹介を通じて、実際に部屋・住まい探しの依頼や問い合わせが増えた。秘訣は、人を集めて広告を掲載して価値のある動画しか見られないYouTube自体の特性のほか、暇つぶしや探求、情報収集で使う視聴者の心理に加えて、何のために運用するのかなど自分自身の個性や武器を知ることの追求が重要となる。芸能人が売れていくように人気がなければ活躍の場が広がらないのと同様に、すぐに100万再生を超えるような登録者数の不動産系動画はない。興味を惹かれ、関連動画としてその人たちが薦めることでそれに連動して新規の客が増えていく。再生回数を増やすには、まずは当初だけは再生回数の多い動画の真似をする、視聴者のコメントを分析して実践と改善を重ねる。また例えば、大阪の物件を紹介しても、北海道の在住者に興味はわかない。不動産の特性から、物件探しはエリアが限られ、視聴者のターゲットも絞られる。いかに視聴者目線に近づけるかどうかが重要で、その点、動画は心理的な壁がなくなりやすく、実際の来店した接客の場面で視聴者との距離感が近づいていく」と解説した。
ラムエイ氏の撮影編集担当のはちみつ氏は、「いい動画は、単に物件情報の紹介ではなく、親近感がわく人間性が見えることが大切になる。制作する場合には、自分自身が本当に楽しめる動画をつくることが実は大事になる」と説明した。
また、YouTubeだけで集客し、「売る仲介」「ゼロ仲介」チャンネルを運営するグラウンド(大阪市北区)代表取締役の鈴木宏治氏とラムエイ氏、木村氏が登壇した座談会では、各氏の発言の要旨として、「自分で編集することで撮影素材の質が向上する。特別な時間をつくるのではなく、いかに業務時間の中で撮影・制作するかで継続できる。普段の姿を見せることで親しみがあって再生回数に効果がある。経営層や上長のコミットメントも必要となる」などと語った。