ムーディーズ・レーティングスは11月21日、「超長期住宅ローンの普及は返済の柔軟さをもたらすが、リスクも伴う」としたレポートを発表した。それによれば、住宅価格の高騰を背景に超長期の利用が一段と増加傾向にあるとし、超長期ローンの普及は、債務者の返済を柔軟にするものの、これらローンを裏付けとする居住用のRMBS(住宅ローン担保証券)は一定のリスクにさらされる可能性があるとした。
住宅ローンの借入期間は35年が標準的とされるが、最近はそれを超えて最大借入期間が50年の固定と変動金利の住宅ローンも含まれている。同社が2024年に格付を付与した日本のRMBSには、初めて超長期住宅ローンが裏付ポートフォリオに含まれたが、その借入期間は最大40年だったという。
超長期ローンは、貸し手の返済比率(DTI)の基準を満たせない借り手の一部も、超長期の住宅ローンの利用で基準を満たすことも可能となる。ただ、月々の返済金額を抑えることは、ローンの元本残高の減少速度が遅くなるというネガティブな側面を持つ。借り手が債務不履行となれば、貸し手が担保不動産の売却で残存ローンの回収を行うものの、ローン残高が担保不動産の価値を上回る可能性が高く損失が発生するリスクが高まるとした。
また、超長期住宅ローンは短期のローンと比較すると、ローン期間の長さから担保物件の状態や資産価値が経年劣化する程度が大きくなりやすく、借り手がデフォルトした際に損失が発生するリスクが増える可能性があるとした。
ムーディーズでは、住宅価格の高騰と金融政策の引き締めによって住宅ローン金利が上昇する可能性があることを踏まえると超長期ローンへの需要増加が見込まれるとみている。