賃貸・管理

大阪市の第3四半期オフィス空室率は低水準継続 コリアーズ調べ

 コリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は、「大阪オフィスレポート/2024年第3四半期(7月期から9月期)大阪市中心部・グレードAオフィス」を発表した。

 基準階面積がおおむね100坪以上の主に賃貸で供給されたオフィスビルの中から、同社独自の基準によってグレードAオフィスと定義した物件を選び、大阪市内の賃貸オフィス市況と今後の見通しについて同社が独自に収集したデータに基づいて分析した。

 同調査結果によると、需要が供給をわずかに上回り、市場は底堅い動きを継続した。JR大阪駅に直結する立地に「イノゲート大阪」が竣工し、空室率が引き続き低水準を維持している。平均の想定成約賃料もゆるやかに上昇しており、今後の成長を見据えた安定的な市場動向が期待されると同社では分析している。

 需要をけん引した要因には、人材の確保や生産性の向上を目的とした企業の戦略的なオフィスの移転を挙げている。大阪では、本社機能を持つ大規模なテナントの移転や、特に周辺部や自己所有のオフィスからグレードの高い賃貸オフィスへ移転する影響があり、賃貸オフィス需要の純増に寄与しているという。ただ、入居工事費の高騰や、工期の長期化が一部のテナント企業の移転判断に影響を与えている事例も出始めている。

 2024年下期は、上期の2倍を超える供給量が予定されている。2024年の通年では、2009年以来の大規模なオフィス供給が予想される。また、これらの新築オフィスのテナントの内定状況は比較的に順調な状況にある。竣工時点では一定量の空室が残りそうだが、通年の需要は供給を下回る見込み。そのため、同社では、「2024年末にかけては、空室率の上昇が予想される。ただ、中長期的な見通しでは、2025年以降の新規供給量は減少し、需要の大幅な減退要因も見当たらず、2024年から2026年の平均空室率は改善傾向を示すと予想される」と総括している。