消費税の2段階引き上げは未知の経験である。来年4月に8%、再来年10月に10%となることを前提とした与党税制改正大綱が1月24日固まった。この2段階引き上げが国民生活や経済活動にどういう影響をもたらすのか。とりわけ人が生きる基盤で、最も高い買い物である住宅は負担額が大きいだけに、需要者の行動がどう出てくるのか注目される。
▼前回(97年、3%から5%へ)は、駆け込み需要が発生して一時的に市場が盛り上がったものの、引き上げ後はその反動が深刻化した。住宅着工で見ると約20%、30万戸ほど落ち込み、業界はもがき苦しんだ。その二の舞を避けるために、挙げて要望したのが需要者の負担軽減措置(税制枠内での還付・給付)の創設だ。今回は長引く不況で需要者の住宅取得能力が低下している状況もある。
▼大綱によると、消費税率引き上げに伴う需要者負担軽減措置は、住宅ローン減税の拡充と給付措置の検討で決着した。焦点の給付措置の詳細については、軽減税率の適用を含め、幅広い観点から早急に詰める必要がある。
▼ローン減税の拡充策が盛り込まれたことで、市場への大きな影響はひとまず回避された。また、需要者にとってお得な購入時期がいつかの判断は、所得などによって異なる形になったのは絶妙と言えなくもない。いたずらにあおることなく、慎重にさせ過ぎることもなく、適度に需要を刺激する負担軽減策を求めたい。