政策

大言小語 規律よりも実体を

 このところ、景気を判断する数字が悪くなってきた。記事にもあるように、建設経済研究所が発表している住宅着工予測も、消費増税の駆け込み需要による〝異常値〟である前年比はもちろん、その影響を受けない12年度の数字よりも下に修正した。この4月から6月期の実質GDPも年率6.8%減から7.1%に下方修正。消費増税を予定通り15年10月から実施するかのリトマス試験紙になる7―9の数字も夏の天気不順などから、悪い数字が想定されている。

 ▼消費税を5%から8%に上げるとき、政府は様々な施策で対応するから心配ないと説いた。円安誘導のリフレ政策が奏功していた自信もあり、少しのマイナス要因などアベノミクスで吹き飛ばせると思ったのだろう。残念ながら、ここまでを見ると金融緩和の一の矢以外は、効果がさほど出ていない。この状態で、10%に上げられるのか。

 ▼実は、日本の国税収入は97年以来、その水準を超えたことがない。97年とは、消費税が5%になったときだ。以降の景気の落ち込みで当時の橋本政権は、翌年の参議院選挙で負け、総辞職した。

 ▼女性2閣僚の辞任という事態から立て直しを図る安倍総理は会見で、「これからは経済を優先する」と言った。この不祥事により、総理が違う方向に向きかけていた羅針盤を経済に戻すことができるなら、「災い転じて福」となるのではないか。