もはやコンピューターに人間は敵わないのか。グーグルが開発した囲碁の人工知能ソフト「アルファ碁」が、世界ランキング4位のイ・セドル九段と対局し、5番勝負を4勝1敗で制した。チェスや将棋のソフトでは、プロ棋士を負かすものが現れていたが、囲碁は手数・組み合わせが多いため、プロ棋士に勝つのはかなり先と見られていた。それだけに、関係者の間では〝ショック〟が広がっている。
▼このソフトの強みは、「ディープラーニング」技術だ。囲碁は石自体に強弱がなく、計算機能の強みを生かす先読みでは、手順が多すぎる。しかし、アルファ碁は、過去の棋譜を読んで「自分で学習する力」がある。ムダな手を排除し、「少数の情報だけを処理している」(開発者)。10万局の棋譜をインターネットから入力。自分で先と後(黒と白)を持つ自己対局を3000万回行ったという。
▼このディープラーニング技術は不動産業界でも、インターネットで不動産の価格を推定するサービスに活用されている。消費者が知りたい情報を簡単に手に入れられることで、情報の非対称性が解消され、安心・安全な取引の一役を担うと期待されている。
▼イ・セドル九段は敗れたが、一矢報いた対局は、コンピューターを混乱させたという。うまく活用する術をどう身につけるか。コンピューターとの新しいつきあい方を始める時が来たようだ。