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大言小語 人を〝属性〟で見る味気なさ

 女性専用のシェアハウスを運営管理している女性社長の話によると、近年の入居者の中で目立つのが離婚した女性らしい。離婚によって家を出なければならなくなるのは女性のほうが多いようで、次の住まい(相手?)を見つけるまでのつなぎとして、初期費用が少ないシェアハウスを利用するのだという。

 ▼それにしても男性専用のシェアハウスがないのは不公平だ。妻所有のマンションから追い出される男性も今後は増えるのではないか。また、男性は高齢になると介護施設にも入りにくいといわれる。女性よりも体が大きいため、介護スタッフが嫌うからだ。多くの施設が男性の入居枠を絞っている。

 ▼それにしても自戒を込めて言えば最近は女性とか、男性とか、高齢者とか、若者層だとか、人間をその属性だけで捉える傾向が強すぎないか。属性など、その人にとってみればほんの一部でしかないのに……。高齢者である前に離婚した娘のことで悩む父親かもしれないし、不況に苦しむ町工場の経営者かもしれない。あるいは趣味が高じて書道の達人になった人かもしれないし、今なお現役の指折りの名医かもしれない。

 ▼人間は全人格で捉えてこそ意味があるのに、他人に対しては、そこがおろそかになる。現代文明が人間を劣化させている証拠だ。今宵は週末。好みの酒場で一献傾けながら、改めて〝人とは何か〟を考えてみよう。