東海道新幹線が開通した年に生まれた。東京オリンピックが行われた年でもある。オリンピックのことはまるで覚えていないが、新幹線に初めて乗ったのは小学生の頃。といっても熱海まで。それでも十分に旅行感覚は味わえた。そんな時代だった。
▼そして今やリニア新幹線である。東京都と大阪が1時間で結ばれることになるという。東京の山手線を一周する感覚で、東西を行き来ができるというわけ。移動の高速化によって、旧太平洋ベルト地帯は「スーパー・メガリージョン」と呼ばれる人、モノ、カネを集積する一大経済発展地として再活性化される。しかし、リニアの全通予定は20年後のこと。果たして、生き残れているのかどうか。
▼このスーパー・メガリージョンが形成されれば、現在の首都圏、関西圏、中部圏のGDPが加算されるとして、この地域だけでフランスやイギリスを超えてドイツ一国のそれに迫る。都市の人口ランキングとしても、東京・大阪・名古屋を足して6810万人となり、1位の中国・広州(4860万人)をはるかに超える。
▼国土構造の変革としては画期的なものになるという試算結果だ。人口の減少や高齢化社会の進展など、明るい話題の少ない日本の将来にあって、とても希望の持てる話題となった。遠い未来を見越さなければならない議論になるとはいえ、9月から始まった構想検討会に期待は高まる。