マンション・開発・経営

デベ各社〝ZEH-M開発競争〟

 不動産業界における脱炭素化やSDGsへの取り組みの普及に伴い、ディベロッパー等によるZEHマンション開発も加速している。9月に住友不動産、10月に積水ハウス、11月にも三井不動産(4面に関連記事)が、今後開発する全物件においてZEH-M仕様を標準化するなどの方針を宣言。業界大手に限らず準大手・中堅ディベロッパーにも同様の動きが見られ、直近では阪急阪神不動産と大京が相次いでZEHマンションへの取り組みを発表している。

阪急阪神不動産 30年度までに全分譲で登載

 阪急阪神不動産は11月22日、30年度までに同社の開発するすべての分譲マンションでZEH-M Orientedを実現すると発表した。併せて、同社の「geo(ジオ)」ブランドのマンションにおける〝サイクル型〟商品企画プロジェクト「geo fit+(ジオフィットプラス)」を刷新し、SDGsや脱炭素などの要素を強化する。

 同社はZEH-M Orientedの基準を満たすため、今後開発する全物件において建物外皮の断熱性能向上や高効率な設備・システムの導入を進め、住宅性能表示制度における「断熱等性能等級4」「一次エネルギー消費量等級4以上」を取得する。エネルギー消費量の削減だけでなく、ヒートショックリスクの低減など室内環境の改善にもつなげ、「人と環境に配慮した住まいづくりを推進」(同社)していく方針だ。

 また「ジオフィットプラス」については、住宅に求められる要素を「快適・便利」「持続可能性」「安心・安全」の3つの観点から設定、検討し「itsumo(いつも)」「tsunagu(つなぐ)」「mamoru(まもる)」の3カテゴリに分類。各観点に応じた仕様やサービスを商品企画に反映していく。全物件のZEH-M Oriented化は、この「つなぐ」の取り組みの一環という位置付けだ。

「彩都」に初めて導入

 同社は全物件ZEH-M Oriented化の方針と併せて、同社初のZEHマンションとなる「ジオ彩都いろどりの丘」(大阪府箕面市)の詳細についても公表した。

 同物件は大阪モノレール彩都西駅から徒歩8分の立地。建物は地上10階地下1階建て、総戸数は372戸。ZEH-M Orientedに認定されており、同市内の新築分譲マンションとしても初(同社調べ)のZEH物件。竣工は23年8月末(1工区)または24年8月末(2工区)の予定。

 物件のZEH化に向け、樹脂アルミ複合サッシやLow-E複合ガラス、LED照明といった断熱・省エネ性能の高い設備等を採用するなどして、BELSの5つ星評価も取得。また共用部に個室ワークブースを備え、帰宅後には直接手洗いを行えるよう間取りを配置するなど、ワークスタイルや生活様式の変化への対応を図っている。

大京 京都市初を販売開始

 大京も以前からマンションのZEH化を進めており、同社グループの「ライオンズ」「サーパス」シリーズで計30程度の物件を開発している。

 11月26日には、京都府京都市内では初(同社調べ)となるZEH-M Oriented取得の「ライオンズ京都御所南レジデンス」の販売を開始した。

 同物件は京都市営地下鉄烏丸線丸太町駅から徒歩6分の立地。建物は5階建て、総戸数は35戸。間取りは1LDK~3LDKで、価格は5000万円台~1億9000万円台。ZEH-M Orientedのほか、全棟・全住戸でBELSの5つ星、住棟全体でCASBEEのAランクを取得し、認定低炭素住宅としても認定されている。

 また共用部の鍵の非接触化や空気環境への配慮など、コロナ下においてニーズの高い衛生・感染症対策仕様も取り入れた。竣工、入居開始は22年9月を予定している。