暖かな日が多くなってきた。もうすぐ開花と共に新年度を迎える。卒業や進学、入社など人生の節目を迎える人も多いことだろう。自分が新入社員として社会に出たのは30年以上も前の昭和の終わり。バブル崩壊と共に社会人生活が始まったことになるが、これまで長い経済不況にあっても平和な時間が流れていた。
▼そんな平穏を打ち消すように日々、悪化する東欧の戦況の様子が世界のメディアから送られてくる。日本の諸都市がかつて見舞われた、第二次世界大戦期の大空襲と重ね合わせてしまう。また、主人公の西洋人のある少女が、平穏な暮らしから秒単位で戦禍に巻き込まれていく経過をノンフィクションで映像化した反戦のビデオクリップも思い出した。あどけない少女の笑顔が、刻々と恐怖と不安を募らせて暗くなっていくストーリーだった。
▼終戦から今日まで、日本では外国と武力で争うことのない平和な時代が続いてきたことを痛感させられる。例えそれが均衡の上に成り立っている平和だとしてもだ。世界のどこかでは、今現在も戦争や紛争が絶え間なく続いている。肯定はしたくないが、この世から争いがなくなる日は訪れないのかもしれない。近現代において敗戦した国はごく少数だ。その他の国の戦後は日本のそれとは次元が違う。特に勝戦国においては、今もあの大戦の時代が引き続いていることは忘れてはいけない。早期停戦を願いたい。