様々な業界と同様に不動産業界でも、IT化が進展している。従来の単純作業や定型業務をデジタル化して効率化する。そこから創出した時間を〝人ならでは〟の提案業務やコンサルティングなどの時間に充てる。物件オーナーや入居者の顧客満足度が向上する。
▼変革の時期に入り、従来の成功体験が通じない。優秀な新卒人材が隆盛なベンチャー企業で挑戦し、または起業している。大手企業や老舗企業は、もはや盤石ではない。最新のテクロジーを駆使したデジタル化は人や組織、国さえも変革していく。戦争は白兵戦よりもドローン(無人航空機)の活用が活発化し始めている。
▼徳川300年の歴史に幕を閉じた明治維新の様相にも似ている。天皇を頂点とする中央集権統一化を目指す勤王派、合わせて外国勢を排斥する尊王攘夷派が動いた。これに呼応するかのように見せかけて海外との交渉も始める幕府の二枚舌に対して嫌気がさした討幕派、求心力が低下した幕府を守って旧体制を維持しようとした新選組などの反動勢力も生まれた。
▼時代にあらがわずに単に環境変化に対応するのではない。新たな時勢を生み、生かす。思想のイノベーションを起こした志士たちが結局は日本の近代化に貢献した。農作物を取り立ててお米(石高)や領地を与え、豪商に借金して辛うじて経営する旧体制は崩壊した。果たして令和の維新(変革)を動かすのはどのような人材や組織なのか。