小紙の創刊記念アンケートの結果がまとまった。同じテーマで住宅・不動産会社と一般消費者の双方に意見調査を行うケースは比較的珍しく、一定の価値があるデータと言えるのではないだろうか。
▼全体的な傾向として見られたのは、記事にもある通り、企業側と消費者側の意識のギャップだ。大きな要因として読み取れるのは、「他人事」と感じているか否かの差ではないか。空き家もSDGsも、収益や資金調達の面で直接影響を感じている企業は取り組むが、そうでなければ動きは鈍い。そして消費者は、相続などで所有している人以外は空き家問題に興味を持つことは少なく、SDGsとなると「自分事」として捉えるのは困難だろう。
▼大げさに言うまでもなく、これは社会課題全般に当てはまる。貧困やマイノリティ差別、災害対策など、当事者にならなければ「他人事」と感じる人が多いことは、残念ながら否定できない。自分と家族が生きるだけで精一杯、という人も多い時代ゆえに、とてもそれを責められない。
▼とはいえ、いつまでも「他人事」のままでもいられまい。空き家にせよSDGsにせよ、いずれ全国民にとって否応なく「自分事」となる可能性は低くない。その時に手遅れとならないよう、国や企業、そしてメディアも継続的に情報発信して、「他人事ではなくなるのでは」と感じてもらう契機をつくることが求められるのではないだろうか。