総合

大言小語 金利上昇前夜

 金利の本格上昇前夜にあって、買い急ぎ予備軍やローンの借り換え、返済見直しなどの動きが活発になっていくだろう。新規は金利上昇を織り込んで借り入れ計画を立てられるのでまだよいが、既に変動で借り入れている場合は、返済見直しを迫られる可能性もある。民間で8%程度まで上昇した90年代バブル当時は、一時的とはいえ多くの人が返済額増加を余儀なくされた。金利上昇の幅とスピードにもよるが、同じ事態に直面することも現実味を帯びている。

 ▼心配されるのは残債の多いリタイア層だ。世帯収入が大きく減少して定年後の返済が追いつかなくなる、第二の住宅ローンリスクはかねてより指摘されてきた。青山学院大学教授で、移住・住みかえ支援機構代表理事の大垣尚司氏は、「以前はサラリーマンの定年退職を想定して25年返済が標準だったが、住宅金融公庫融資が35年に伸びやがて標準になっていった」(19面地域創生と金融)と本紙連載で述べている。晩婚化や低収入などで住宅取得時期が高齢化しており、大垣氏も「退職後に5~10年程度の返済期間が残ってしまう」ことが最も深刻だと指摘する。

 ▼不動産に出物はなく、また高いものが良く見えることすらある。良質な住宅を買うために、多くの借り入れに依存しがちになる。長期上昇に転換していく今後は細心の注意が必要で、不動産やファイナンスのプロには的確なアドバイスを期待したい。