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大言小語 増え続ける空き家

 空き家が社会問題化して久しい。このほど5年に一度の住宅・土地統計調査が発表され、全国の空き家総数は900万戸近くに増えて過去最高を更新したという。空き家の発生抑制に向けて諸施策が打たれてきた成果なども徐々に出てきたこともあり、一時期の増加からはやや下火になったものの依然、増加基調が続いていることに変わりはない。

▼更に今後も空き家の発生に拍車をかけていく要因としては、人口減少と少子高齢化が挙げられる。国の推計によれば、日本の人口は2020年の1億2000万人から2070年には8700万人へと減少が続く見通しだ。人口推移をさかのぼるとちょうど8000万人超だった1950年当時とほぼ同じ水準になる。大きな違いは高齢化率が同28.6%から同38.7%に上昇する一方で、14歳以下の人口が800万人を割り込むことが見込まれている。

▼今後、約半世紀にわたり都市、郊外の区別なく高齢者割合が特に高い住宅地は「空き家問題」から逃れることはできないかもしれない。確かに最近、空き家は身の回りでも目立つようになってきている。東京都区内の地元も、長年ご近所付き合いをしてきたご高齢の人たちが他界されたり、あるいは施設に入られたりして空き家が1軒また1軒と増えていく。かつては近所の主婦たちが朝に夕に集まって井戸端会議をしていた街の景色も今となっては見ることもかなわない。