今週号の資産運用ビジネス特集で「生産緑地2022年問題の余波」(11面)と題して農地活用の現状をレポートしている。期限30年とされた生産緑地地区の指定解除が22年から始まるのに当たり、当時、業界から不動産市場への影響を危惧する声が聞かれたのも記憶に新しい。結果は、当該年に期限切れとなった生産緑地の約9割が期限延長となる特定生産緑地に指定されたという。本稿は特定生産緑地を「貸し農園」として活用できる余地が高いと提言している。
▼農家も高齢化や後継者難、相続問題がますます深刻になっており、従来型の土地活用では限界がある。住宅新報ウェブ提携ニュースのニッキンONLINEでも、買い手不足にある農地の売買の仲介に力を入れている愛媛県内の3つの農協を紹介している。ある農協は、農地貸借や賃貸住宅経営で農家に保有を勧めつつも、売却の際は農協が買い取って自ら宅地分譲しているという。
▼不動産業界でも、営農に着目した土地活用に取り組み始める大手不動産会社が相次いでいる。一方では水面下で寺院の売買も活発化している。振り返れば農地の宅地が進んだ
90年代バブル期も、霊園事業が流行したり、超都心部にあるガソリンスタンドの有効活用が話題になったりした。地価が上昇している時代は、特に土地活用の高付加価値化が進むことを期待したいところだが、もちろん落とし穴にも注意が必要だ。