パリ五輪は閉幕したが、パラ五輪がいよいよ始まる。従前の大会は、メディアの取り上げ方などを見る限り、五輪の存在感に押されている感がぬぐえなかったが、前回の自国開催の影響で、認知度はかなり向上したとも聞く。今回は目を引くと良いなと思っていたら、ネット上の誹謗中傷を巡るニュースがいち早く広がり、選手の出場辞退に至ったという。遺憾というほかない。
▼ダイバーシティ(多様性)については、パリ五輪でも、一部の女子の競技で議論を呼んだ。性別の問題は、非常にデリケートな側面がある。当事者の選手の気持ちは計り知れないが、自分の努力の範ちゅう外で資格を失うということはあってはならないことだとは思う。とはいえ、対戦相手となる選手の気持ちもまた、計り知れない。いかなる形であれ、どの選手にとっても努力が報われ、誰もが納得できるような着地点が見つかってほしい、と思うのは、所詮きれいごとなのだろうか。
▼とはいえ、明るい兆しもある。前回の自国大会の影響もあってか、現在もパラ競技や選手を支援する事業者は少しずつ増えている印象だ。東京都も、国際大会で活躍する地元ゆかりのパラアスリートの継続的な輩出を目指し、選手の認定制度によって競技活動費の助成や活動環境の整備を進める一方、選手も啓発イベントへ積極的に参加していた。パリパラ五輪では、選手たちの努力がどうか報われますように。