「ブレードランナー」という映画をご存知だろうか。1982年作の米国SF映画で、監督はリドリー・スコット、美術監督シド・ミード、主演ハリソン・フォードで、未だに熱心なファン(筆者もその一人)に愛されている作品だ。オリエンタリズムとテクノロジーが混ざり合う、雨の止まぬ暗く猥雑な未来都市のイメージが鮮烈だった。先日仕事も終わり、冷たい雨の降る夜遅く御徒町からアメ横に入った。原色の看板の強い光が雨粒に乱反射し、真上の高架に電車が轟音を立てて行き交う様子が、ブレードランナーで40年前に描かれた未来都市を思い起こさせる。
アメ横では名の知れた「大統領」「カドクラ」「肉の大山」を通り抜けるとすぐ、立飲み「たきおか」本店の看板が見える。暖簾越しに見える奥の深い店内でたくさんの人たちが飲んでいる姿は壮観だ。訊けば朝7:00から夜23:30まで年中無休という。しかも客の回転は速い。この夜はビール大瓶(アサヒスーパードライ)、辛丹波本醸造正一合、いか刺し、煮込み、肉じゃが、串焼き4本を頼むがどれも美味かった。会計は都度払い、千円札2枚でお釣りが来た。カウンター前にはメニューが貼られる。
飲物は瓶ビール、生ビール450円、ホッピー450円、チューハイ類は330~350円、日本酒・焼酎は400~500円ほど。白板に書かれた定番お薦めは煮込み200円、牛煮込み400円、肉豆腐400円、いか刺し300円、鯛刺し300円、厚揚げ煮・里いも・揚げ茄子・筍煮が250円など。他に、こぶくろ、ポテサラ、枝豆、そら豆、塩らっきょ、ガツ刺し、肉じゃがなどが200~250円、串物はシロ、タン、ハツ、かしらなどが2本240~260円。千円札1、2枚でサクッと飲んでサクッと店を出る、そんな客が多い。(似内志朗)