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大言小語 置き配の先に

 宅配便の再配達の削減に向け、国は「置き配」の標準化に向けた検討を進めている。対面での荷物の引き渡しを前提とした基本ルールを見直し、物流業者の負担軽減につなげる狙い。今後置き配が一般的となれば、対面受け取りが有料となり、1回の配達で受け取れなかった場合、再配達に追加料金が掛かる可能性もある。識者によれば、近くの営業者やコンビニ等へ引き取りに行くパターンも含め、料金形態の細分化が進むとの見通しだ。一方、配達間違えや盗難被害、荷物の破損、個人情報の流出など置き配をめぐるトラブルは尽きない。

 ▼対応の一助を担うのが宅配ボックス・宅配ロッカーの設置だ。ライフルの調査では、全国の賃貸マンションのうち宅配ボックスが設置されていない物件は約7割。約2割は「宅配ボックスなし&オートロック設置」のため、玄関先への置き配が不可という。賃貸マンション用の宅配ボックスを追加設置するには30万~100万円のコストが見込まれるとも言い、設置率拡大も容易ではなさそうだ。

 ▼投資コストを各住戸、賃貸オーナーが負担するには荷が重い。導入が進む物件では差別化要因となりうるが、再配達削減という目標にどれだけ近づけるか。一方、宅配ボックスメーカーが置き配システムの普及に参入する動きも出てきた。暮らしの快適性と安全性を担保する持続的なシステムを構築するために各社の能動的な参画が求められる。