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大言小語 実に「もったいない」

 最近、北海道釧路市の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)開発についての報道をたびたび目にする。ある企業の計画が、自然環境への悪影響に加え複数の法令違反等から注目を集め、行政も事態を重く見て規制強化を進める構えだ。メガソーラー自体の賛否はさておき、環境分野に限らず民泊や不動産特定共同事業などでも、こうしたケースを見るたび「もったいない」という言葉が頭に浮かぶ。

 ▼「もったいない」は、辞書によると「ものが持つ本来の姿が失われ、価値を生かしきれず無駄にされることを嘆き惜しむさま」を意味する。太陽光発電事業は本来、脱炭素化や経済安全保障等の観点から、我が国の重点政策分野。〝国策に売りなし〟ではないが、大手ディベロッパーも参入する有望な事業領域にもかかわらず、一部の事業者のルール違反で規制強化を招き、せっかくの稼げる市場が価値を損なう事態は、率直に言って実にもったいない。

 ▼環境分野の活動家として初のノーベル平和賞を受賞した故ワンガリ・マータイ氏は、来日した際に「環境3R」に「リスペクト」(敬意、尊重)も含む概念の「もったいない」という日本語に感銘を受け、その後「MOTTAINAI」を世界に広めた。業界や地域への「敬意」を持たず、ルール違反で市場縮小を招く事業者に対しては、「もったいないおばけ」に代わって司法や行政がペナルティを課す必要があるだろう。