6月4日、免震構造の普及活動などを行う日本免震構造協会(JSSI)の総会を取材しました。13年度予算・事業計画の報告などとともに行われる、2011年に免震構造がどのくらい計画されたかの報告を聞くためです。
東日本大震災後、マンション事業を取材する中で〝免震採用〟の言葉をとても多く見てきました。JSSIでは、毎年どのくらいの免震構造が計画されたか調査していて、今回は2011年の結果が報告されました。実際、どれくらい増えただろうかと思って聞いた結果がグラフの通りです。
2010年に比べて減少しています。よく考えれば、それは当然のことかも知れません。これは建築確認もしくは、大臣認定を受けた段階でカウントされます。震災後、注目を集めている免震構造ではありますが、ディベロッパーなどが計画して建築確認申請などに至るには、一定の時間が必要でしょう。明確に増加傾向が出るとすれば、2012年以降かもしれません。
消費者の窓口になるデベ
「震災後は消費者の防災意識が高く、結果として免震の採用がPRになるため、事業者の取り組みが増える。ただ、一定期間が経過すると、消費者の意識は下がり、コスト増の問題もあることなどから事業者の取り組みは少なくなる」
今年の年明け、東日本大震災から2年が経過する日に向けて、震災後のマンションをテーマに、何か企画ができないかと考えていました。そこで注目したのが、〝免震構造〟でした。
ただ、どういった視点で取材して記事をまとめるのかは悩んでいました。とにかく現状をざっくりと把握しようと思い、取材させていただいたのがJSSI。そしてJSSIの方が口にした前出の言葉が、連載企画の出発点になりました。
ディベロッパーが、「免震は安心安全のために有効」と判断するなら、震災後の一種の流行のようなものではなく、市場に定着させていくためにも、もっと免震に関する知識を持ってもらいたいという発想のもと、〝免震を知る〟(住宅新報2013年3月12日号〜4月9日号)として、まとめました。
取材過程では、多くの技術者の方に免震構造に関連する話を伺いました。理解力のない私に、丁寧に説明していただき、ただただ感謝しているところですが、同時に強く意識したのは、それを商品の一部として採用して、消費者に提案していくのは、あくまでマンションディベロッパーだということです。
年間マンション着工数に占める免震マンションの割合は、現状0.1%未満です。12年以降、免震構造の計画件数が増え、そして定着していくならば、そこにはディベロッパーの免震に対する理解や説明力は欠かせないもののように思います。(編集部Y)