震災以降、住まいに「つながり」が求められる中で、マンションディベロッパーもコミュニティ形成に力を入れてきた。JR総武線稲毛駅から徒歩5分の場所にできる総戸数929戸の「ウェリス稲毛」も、そのひとつだ。
土地の取得・登記が11年1月。その2カ月後に東日本大震災が起こったことで、稲毛のマンション計画は「防災」へと大きく舵を切った。
当時は千葉の海浜部で液状化被害が出て、地盤や地震対策、防災に急激に関心が高まった。稲毛周辺は国道14号線から海までがすべて埋立地だが、ウェリス稲毛の建つ土地は古くからある下総台地の丘の上にあり、地盤の心配はない。
防災設備は防災井戸や衛星電話などを整えた。しかし、マンションパビリオンに展示された防災備品は、正直それほど多くない。
「備品はあえて必要最低限としました。あまり多くを詰め込むと後々の管理が大変になるからです。震災の教訓から、災害時にはたくさんの〝もの〟より〝人とのつながり〟が大切だと考え、コミュニティ支援に力を入れました」と、NTT都市開発住宅事業部事業開発担当マネージャーの大塚正氏は言う。
その言葉通り、「はぐむクラブ」というコミュニティ活動のためのクラブを組織したほか、共用施設は住民同士が出会うきっかけをつくるしかけが随所に施されている。
代表的なのは住民自らの手で「ピザ窯」づくりを行うイベント。ほかにもコンサートや南房総エコツアーなどが計画されており、契約済みの入居予定者を対象に、既に開催されたイベントもある。
ウェリス稲毛は地上14階建て6棟構成、70~101m2台で坪単価は165万円(第1工区・ルーセントブロック)。既に370戸が完売。竣工は14年2月下旬~15年2月下旬を予定している。