― EAJについて。
成宮 不動産業者と金融機関を対象にサービス事業を展開している。不動産業者に対しては、業務効率や安全性、利便性の向上を図ったサービスの提供が主力事業だ。
― 「アワーズ」とは。
成宮 ひと言で言えば、「会わずに完結する不動産取引決済」。通常、売買代金支払いや引き渡しなどは、取引関係者が一堂に会する立ち会い方式で行われている。これが特に遠方同士の取引となると、時間・金銭共に多大なコストになるわけだが、その決済のサポートをEAJがワンストップで行い、取引関係者の手続きを飛躍的に効率化できるというものだ。
― その他のメリットは。
成宮 メリットは大きく3つ。まず、「(1)取引にかかる時間と費用の削減」。次に独自のクラウド型システムによる「(2)取引の見える化」。非対面であるからこそ、決済までの進行状況を可視化した。そして「(3)安全性の向上」。我々は買主のお客様に資金決済を安心して行って頂きたいと考えており、信託による資金決済もサポートしている。更にアワーズには、対象取引の確実な履行を保証する不動産取引保証も組み込んだ。誰もが安心して取引を行える環境をワンストップで提供することが当社の社会的責任であり、同時にコーポレートビジョンでもある。
鍵は業界意識の変革
― 実際に導入したハウスドゥの安藤社長の感想は。
安藤 アワーズは先鋭的な取り組みで、優れたサービスだと思っている。実はEAJとは不動産の安全な取引を支える取引保証の仕組みについて検討を重ねてきた。この度、EAJの提供開始にあたり、より安全な取引の実現に資すると考え、当社のハウス・リースバックに導入した。当社では、今住んでいる家を売って資金を作りながらもそのまま住み続けられる「ハウス・リースバック」というサービスを4年前に開始した。これが501店舗(17年12月末時点)の全国の支店で年間6000件以上の問い合わせを受けており、年間購入総額30億円を超える大ヒットとなっている。アワーズは、ハウス・リースバックの決済で活用しているが、WEB取引や非対面決済、契約の履行保証などの先進的なサービスが消費者にスムーズに受け入れられるには、政府や銀行なども含め、業界全体が意識を変える必要がある。
成宮 確かに今すぐ全ての不動産取引決済を非対面化する必要はない。決済の場はある意味では不動産業者にとってサービスをアピールするタイミングでもあり、重要書類等をその場で確認できる貴重な時間でもある。一方、地方間の取引やインバウンドの海外投資家など、遠隔地の取引当事者が負担する時間や移動コストは少なくない。アワーズは、このような負担を大幅に軽減することができる。また、取引の安全性を高める効果があり、メリットは更に大きい。実際、アンケート調査からも立ち会い決済に不便を感じていることは確かだし、現にハウス・リースバックを通じてご利用頂いたケースでも、業務負荷はかなり軽減されたそうだ。取引当事者へ決済の非対面化という選択肢を提供したい。
― 確かに、これまでの業界の商習慣に捉われず、新たな試みにチャレンジする不動産事業者の利用が増えており、評価も高いと聞く。では普及のためにはどうすればよいか。
安藤 社会の風潮や人々の意識は、世間の耳目を集める話題をきっかけに変わることが多い。そういう意味では、最近のいわゆる「地面師」被害のニュースは、業界の意識が変わるきっかけとなるかもしれない。
成宮 そうした問題に対する解決策として、アワーズは最適だろう。元々は取引保証を主軸としている。EAJは、米国で多く利用されているチェーンオブタイトル(権利移転等の履歴情報の蓄積)に基づいたタイトル・インシュアランス(権原保証)にならい、取引の利便性・安全性を追求しており、不動産取引保証を商品化した。
安藤 課題のあるところにはビジネスチャンスもある。制度や慣習が現状の社会的課題に十分に追い付いていない部分はあろうが、自然に変わるのを待つのではなく、イノベーションを継続することが大切で、その意味ではアワーズの役割は大きく、将来のスタンダードになる可能性は十分ある。当社もお客様に安全で安心してご利用頂けるサービスを追求していく。EAJとも切磋琢磨していければと思っている。
取引の担い手として
― 今後の不動産テックの見通しは。
安藤 近年の技術革新は目覚ましく、すぐではないにせよ、不動産取引がネット完結の方向へ動いていくこと自体は間違いないだろう。しかしそこで大切なのは、技術に傾倒せず消費者を守る仕組みをつくることだ。
成宮 全くその通りだと思う。テクノロジーはあくまでも徹底的なローコスト化の手段であり、それ自体が目的になっては本末転倒。不動産業者の効率化を支え、エンドユーザーの安心と安全を守ることが我々の責務であり、取引を支える担い手として確固たるプラットフォームを構築することが、一貫して目指しているビジョンだ。
不動産業界の現状と未来について率直に語り合った
EAJが「不動産取引の決済の新たな選択肢」として提供する、〝立ち会わない〟決済サービス。通常の決済で必要となる、「平日金融機関に集合」「必要書類確認」「説明」「書類記入」「融資実行依頼」「出金待ち」といった手間が全て解消されるため、遠方の案件や高頻度の取引などの業務が飛躍的に効率化される。
問い合わせ先
https://www.hours-eaj.com/
電話番号 03-6703-0500
メールアドレス contact@ea-j.jp
株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン (Escrow Agent Japan, Inc.)
不動産取引の安全を保証する「日本版エスクロー」の確立を目指し、業務の効率化と安全性の確保・向上のためのサービスを数多く展開している。07年設立、16年6月に東京証券取引所市場第一部に上場。
所在地:
本社: 〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目2番1号 新大手町ビル4階
オペレーションセンター: 〒220-0003 神奈川県横浜市西区楠町4番地7 横浜楠町ビル3階
不動産鑑定業者登録番号
東京都知事(1)第2579号
宅地建物取引業者免許番号
東京都知事(2)第88371号
貸金業者登録番号
東京都知事(3)第31359号
一般労働者派遣業許可番号
派13-303359号
有料職業紹介事業許可番号
13-ユ-302887号
従業員数 245名(2017年2月末日現在)
事業内容:
【BPOサービス事業】
不動産関連事業者向けの業務受託・人材派遣等 (不動産事業者・金融機関・建設事業者・専門家向け)
【エスクローサービス事業】
情報システム提供を含む各種支援サービス (不動産業者・金融機関・建設業者・専門家向け)
関連会社:
株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託
〒100-0004
東京都千代田区大手町二丁目2番1号 新大手町ビル4階
株式会社中央グループ
〒950-0954
新潟県新潟市中央区美咲町一丁目4番15号
株式会社 ハウスドゥ
500店舗超の不動産売買仲介FCを展開。ハウス・リースバックをはじめ、リバースモーゲージ保証など新規事業に積極的に取り組む。16年12月に東京証券取引所市場第一部に上場。
所在地:
東京本社: 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目8番1号
丸の内トラストタワーN館17F
京都本店: 〒604-8152 京都府京都市中京区烏丸通錦小路上ル手洗水町670番地
大阪支店: 〒530-0018 大阪市北区小松原町3-3 OSビル16階
宅地建物取引業
国土交通大臣(2)第8077号
一般建設業許可
国土交通大臣(般-28)第24008号
一級建築士事務所
京都府知事(28A)第00883号
従業員数 439名(平成29年6月末現在・グループ合計)
事業内容:
【フランチャイズ事業】
・「HOUSEDO」不動産売買仲介FC加盟店への各種サービス提供業務、コンサルティング業務
⇒ 不動産売買仲介FC
・「RENT Do!」賃貸不動産仲介事業、不動産賃貸加盟店への各種サービス提供業務、コンサルティング業務
⇒ 不動産賃貸仲介FC
・「タイムルームクラウド」の企画・マネジメント
⇒ タイムルーム
【ハウス・リースバック事業】
・ハウス・リース、ハウス・リースバック、アセット・リースバックの企画・マネジメント
【不動産売買事業】
・売買事業:中古住宅及び不動産の買取、再生販売
⇒ Do!の買取
・新築分譲住宅企画・販売、宅地分譲及び開発
【リフォーム事業】
・リフォーム事業:リフォーム全般、増改築の企画・設計・施工、耐震補強
⇒ アップリフォーム
⇒ Do!のリフォーム
・住宅 (新築戸建) 事業:新築住宅の企画・設計・施工
⇒ Do!の家
関連会社:
株式会社 ハウスドゥ住宅販売
埼玉県川越市扇河岸105-1
株式会社フィナンシャルドゥ
大阪府大阪市北区小松原町3-3 OSビル16階
株式会社ピーエムドゥ
京都府京都市中京区烏丸通錦小路上ル手洗水町670番地