居酒屋の詩 記事一覧
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居酒屋の詩 (72) 居酒屋の提灯ゆれて赤々と 見えゆく頃ぞ町は悲しき
台風19号の上陸が目前に迫っていた週末、ある居酒屋に入った。今回はあえて店名は出さないが、場所は日比谷線沿線である。そこはなんとも暗い雰囲気の小さな店だった。台風が近づいているためか、棚には何本かのボ(続く) -
居酒屋の詩 (71) 秋は来ぬ雨は上がりて月淡く 増える人影宵の新橋
「ゆうき家」新橋本店の板前をしている小林さん(写真)とは長い付き合いになる。私が八丁堀の「武平次」に通っていた頃親しくなり、彼が「ゆうき家」日比谷店に移ると、帰宅路線からは外れるが時折飲みに行った。そ(続く) -
居酒屋の詩 (70) 秋来ぬと目にはさやかに見えねども 人ぞ恋しき原木の里よ
飲みグループ「西船銀ダコ会」のメンバーと共に京葉道路原木インター近くの「鯛寿し」へ行った。JR西船橋駅からはタクシー、地下鉄東西線「原木中山」駅からは徒歩15分のため〝ぽつんと一軒家〟とも言われている。(続く) -
居酒屋の詩 69 秋の夜は心しずかにあこがれて 酒場にものを思ふころかな
酒を飲むと仲間と大騒ぎをしたり奇声を発したりする癖のある人は、やや料金は高いが〝個室居酒屋〟に行ってもらいたい。大部屋形式の大衆居酒屋では周りの人に迷惑を掛けないように静かに飲むのがマナーというもの(続く) -
居酒屋の詩 (68) 年たけてまた越ゆべしと思ひきや 命なりけり秋の大川
大相撲を観戦した帰り、両国からタクシーで錦糸町へ。「錦糸町ハイタウン」の1階飲食街にある「馬刺し居酒屋熊本ダイニングキッチン」へ。カウンター席9席、座敷10席(掘りごたつ)だけの小さな店だが、「吉田類の酒(続く) -
居酒屋の詩 (67) 居酒屋で交わす話のあれこれは あるかなきかの秋の月影
東京メトロ丸ノ内線・新高円寺駅近くにある大幸住宅を訪ねた。林良和社長に50周年記念のインタビューをした帰り、青梅街道沿いで見つけた家庭料理の店「九州路」をのぞいてみた。九州大分県出身のママさんがやって(続く) -
居酒屋の詩 (66) 花は寝て鳥も何処か帰りけん 我はねぐらへ各駅の旅
その日は総武線一本で帰ろうと思い、久しぶりに御茶ノ水で居酒屋を探した。同様の目的でこの辺りをさまよったのは、はるか昔の気がする。あのときもそうだったが、今回もピンとくる店がなかなか見つからない。一度(続く) -
居酒屋の詩 (65) 秋風に浮き雲高く空澄みて 夕暮れのまち3軒もゆく
18年3月13日号で紹介した東京都北区東十条の「新潟屋」を再訪した。長谷工グループのセンチュリーライフが運営する介護付き有料老人ホーム「センチュリーシティ王子」を取材した帰りに立ち寄った。前回も長谷工の(続く) -
居酒屋の詩 (64) 人は城人は石垣人は堀 情けは味方あだは敵なり
その居酒屋に魅力があるかないかは、そこで働く人次第。せっかくの料理も酒も客をもてなす心構えがなければ台なしだ。東京・恵比寿にある「三橋屋」はそうした居酒屋の基本がしっかりできている。刺身、揚げ物、て(続く) -
居酒屋の詩 (63) あかあかと一本の道とほりたり たまきはる我が命なりけり
居酒屋の善し悪しは煎じ詰めれば、その場を満たしている気の質である。閃光のごとく一本気の魂が漂っているような店が、いい居酒屋である。JR総武線の東船橋駅南口から徒歩1分のイワシ料理専門店「ふなっ子」は、(続く) -
居酒屋の詩 62 故郷に飾る錦はチューリップ 故郷の味は哀しくもあり
東京・四谷「しんみち通り」の一番奥。しかも角っこにあるビルの2階。場所が少し分かりにくいのだが、一風変わった「小島チューリップ」という看板に引き寄せられる。チューリップは鶏肉の手羽先を味付けし、揚げ(続く) -
居酒屋の詩 (61) 思ひ出づる時ぞかなしき世の中は 空ゆく雲の果てを知らねば
今の子供の中には、お寿司といえば回転寿司のことと思っている子が少なくないという。それも無理からぬこと。都心の高級店はいざ知らず、普通のお寿司屋さんでもまだまだ敷居が高いのが実態である。ところが、日本(続く) -
居酒屋の詩 (60) はつ夏の風となりぬは浦安の 屋台につどう若きひとびと
初めて入る居酒屋というのは、戸を開けるのになかなか勇気を必要とする。その対極にあるのが屋台である。中の様子をのぞき見るまでもないからだ。屋台といえば、博多の中州が有名だが、その本場の雰囲気を東京圏で(続く) -
居酒屋の詩 (59) 俎橋梅雨の晴れ間に見えし空 広きをおのが心ともがな
サラリーマンから自由業になって自由時間が増えると、平日の昼間でも心落ち着く「自分の居場所」が欲しくなる。九段下の俎板(まないた)橋のたもとにあるプロントは、久しぶりに見つけたいい喫茶店である。ただし、(続く) -
居酒屋の詩 (58) 山茶花を一枝さしたテーブルに つつましく置く小料理ひとつ
八丁堀にある「柚(ゆず)」は純和風の小料理屋ふう居酒屋である。小料理とは上から目線ではなく、下からそっと出す簡単な料理のことをいう。それに対し、大きな皿に盛られた料理を上からテーブルにドンと置いて、頼(続く) -
居酒屋の詩 (57) 旅にきて都会の垢を落とさんと 酒のむ我はなにも変わらじ
「♪イトーにいくならハ・ト・ヤ……」でおなじみの伊豆の観光地~伊東~。「熱海や箱根がバブル崩壊時の冷え込みから挽回しつつあるのに比べ、伊東は冷え込んだまま」というのが、駅前みやげ物店で聞いた話。とはい(続く) -
居酒屋の詩 (56) 夏は来ぬ築地の夜の元帥に 歌声聞こゆわがこころ燃ゆ
今年4月2日号で紹介した築地の居酒屋「元帥」にはカラオケがある(写真)。ただ、いわゆる〝カラオケ居酒屋〟ではない。あくまでも、居酒屋経営者であると同時に舞台俳優兼プロデューサーという異色のママさんの店と(続く) -
居酒屋の詩 (55) 遠い地の球場で呑む酒楽し 孫も我にもここがふるさと
福岡ドームの5番ゲート横にある居酒屋「鷹正」では、ホークス選手がホームランを打つと10分間生ビールが100円になる。更に楽しいのはホークスのヘルメットに盛られたポテトフライ。ヘルメットはおみやげに持って帰(続く) -
居酒屋の詩 (54) なにものかを示さんとする秘伝の香 路地に香るはあじさいの花
「とりかわ」と書かれためずらしい赤提灯がぶらさがっている。まだ夕方4時前だが「準備中」ではなく「営業中」とあるのがうれしい。居酒屋がひしめく神田三崎町界隈だが、日の高いうちから営業している店は他には(続く) -
居酒屋の詩 (53) 6時まで安いハイボール癖になり きょうも勇んで途中下車
京成西船駅前にあった「今ちゃん」が店を閉じてからは、新たなたまり場を求めて放浪していた旧常連陣が、現在拠点としているのがJR西船橋駅北口近くの「築地銀だこハイボール酒場ギンダコ西船横丁」である。 5時(続く)