国税庁は11月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2011(平成23)年分路線価に、東日本大震災による地価下落を反映させるための調整率を公表した。調整率が最も低かったのは宮城県女川町の一部で、0.2。震災で路線価が8割下落したと評価された。また、原発周辺土地の評価は、調整率の設定は困難として、断念。相続税、贈与税の申告に当たり、「価格を0として差し支えない」(国税庁)とした。
調整率の対象は、青森県や岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県の全域のほか、埼玉県、新潟県、長野県の一部。津波で甚大な被害を受けた岩手県、宮城県、福島県の一部では、7~8割下落(調整率が0.2~0.3)と評価されたほか、液状化の被害が大きかった千葉県浦安市でも4割下落(調整率が0.6)と評価された。
調整率は、国税庁が7月1日に公表した1月1日時点の路線価などに掛けることで、震災直後の土地の価値を算出するもの。建物倒壊の程度やライフラインなどの被害、経済活動の縮小などの要因を基に算定している。