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中小企業の人的資本情報の測定・開示は11.8% jinjer調べ

 クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供するjinjer(東京都新宿区)は、中小企業の人事担当者302人を対象として2024年8月下旬にインターネットで実施した「中小企業における人的資本経営の実態調査」の結果をまとめた。

 人的資本経営は、企業の競争力を高める重要な要素として注目され、取り組み始める企業が増えている。特に中小企業では、採用難や人手不足など事業運営に直結する問題を抱え、人材の適切な管理と活用が経営戦略の成功につながるとして重要視され始めている。

 同調査結果によると、人的資本経営を重要視する企業は、全体の58%に上っている。ただ、業務過多を要因として、人的資本情報の「測定・開示」に取り組む企業は、11%にとどまることが分かった。

 人的資本情報の可視化・開示に関しての設問では、情報を開示している企業は12.3%にとどまり、そのほかの企業は、「情報開示はしておらず、人事戦略にひも付いた重要な項目はある程度可視化している」との回答が多い。

 人的資本情報の可視化・開示のきっかけとしては、「エンゲージメント向上施策」と「離職率低下への施策」が同率の29%で最も多く、次いで、「新規人材の採用施策」(16.7%)と回答している。

 更に、目的としては、最多の回答が「経営戦略実現に向けた人材戦略策定のため」(26.5%)で、次いで、「適切な人事評価を行うため」(24.7%)、「新規人材の採用強化のため」(24.1%)と続く。

 また、人的資本経営を推進する際の課題感では、最多が「業務過多で優先順位が上がらない」(36.4%)、次いで、「採用難など喫緊の課題感のほうが大きいため」(35.8%)と回答している。

 同社CPO(最高プロダクト責任者)の松葉治朗氏は、「人的資本情報の開示義務化は、主に大手企業が対象だが、今後は各市場で勢いのある一部の中小企業にも対象範囲が広がる可能性がある。人的資本に真摯に向き合い、自社の戦略に生かそうと積極的に取り組む企業各社に対して、人事労務システムを提供する当社の立場から、一層支援を図っていきたい」とコメントしている。