■住宅消費増税への対応
服部社長 消費増税があると、駆け込み需要が発生しますが、その反動がまた大きいため、影響には十分な注意が必要です。更に、住宅はそもそも消費財であるかどうかという問題もあります。諸外国では、一般消費財と同じ税率をかけている例はほとんどありません。最初に出ていくお金が10%というのは非常に大きい。欧州では消費税が20%でも、住宅は0%とか5%という国もあります。住宅は民間の力です。民間の力を利用して景気を回復させるための政策が絶対に必要です。
馬淵議員 住宅消費税の問題については、消費の現場を知る業界の皆さんが強く言い続けていくことが大事で、我々も応援します。消費が冷え込んだら、何にもならない。
服部社長 駆け込める人はいいが、20歳代前半の人たちは、購入適齢期になっても、簡単には買えません。人口減もあり、10年くらいは購買層が激減し、長期的な冷え込みを心配する声もあります。
■都市の競争力と魅力とは
馬淵議員 将来的な税の姿が見えない中ですから、国民のライフスタイルが描けるように、しっかりとした方向性を示す必要があります。
馬淵議員 我が国は、都市戦略や都市政策という分野で非常に立ち後れています。世界の大都市はビジネス、芸術、文化、教育など様々な分野で、都市の魅力、集積力を高めています。ところが日本は、巨大都市東京です。魅力があるかというと、むしろ外国企業は出ていっている。地震の不安、法人税や所得税の問題もあるかもしれないが、私は国家として、都市づくりの考え方やビジョンを示してこなかったことが大きいと思います。
地方都市を含めた都市の魅力度をどう高めていくかは非常に重要な政策の一つです。民主党の若手から中堅議員に集まってもらい、2月に勉強会(都市戦略研究会)を立ち上げました。都市と中央の在り方を考え、役割分担しながら、都市の魅力を高めていくための政策提言をまとめていこうというものです。既に識者のヒアリングなどを行い、着々と準備を進めています。
服部社長 大いに結構なことです。ただ、気に掛かるのは、震度7の首都直下地震が30年以内に70%の確率で発生するといわれていること。人命と街の安全をどう守るかです。東京都では昨年4月、沿道耐震化条例ができ、幹線道路の一定の建物には耐震診断を義務付けました。我々業界もこれを応援しようと、取り組んでいます。
当社はワンルームとコンパクトタイプのマンション開発事業を中心に展開していますが、最近、ワンルームを建てにくくする条例づくりが目立ちます。例えば、50戸のワンルーム計画の場合、「20戸は1LDKにしなさい」と指導があります。納税者を増やすのが目的の第一のようです。
東京都には年間11万人の人口が流入し、その大半が単身者で、地主が建てるアパートを含めても、新規流入者に対する住宅供給戸数は圧倒的に足りない。ミスマッチが起こっているのです。
若い頃に住んだまちには愛着が生まれます。若者が将来、家庭を持って戻ってくれば、街の活性化にもつながります。ですから、若者を排除するような条例は、街の将来を考えても、いかがなものかと思います。活性化へのカギは若者が住むことができる魅力ある街です。そうした街づくりができる政策を推進してもらいたいと思います。