戦後の昭和期、全国に「○○銀座」が広がった。東京・銀座を模した繁盛するハイカラな商店街のイメージに憧れてのことだが、その商店街は平成に入ると大型スーパーや郊外ショッピングセンターなどに押されて繁盛しなくなった。もちろん踏ん張っているところも多くあるが、シャッター街と化した、名前だけにかつての繁栄を偲ばせる寂しいところも現実にある。
▼本家・銀座は時代の波を受けながらも日本一の商業地としての地位を守り続けている。老舗店舗に百貨店、ブランド店などが軒を連ねる表通りは20年前と変わらないように見えて、テナントは相当数入れ替わり顧客層も多様化した。
▼「マッカーサー道路」と呼ばれる環状第2号線の新橋-虎ノ門間(約1.4キロ)が3月29日開通した。名称は「新虎通り」。計画から実現まで60数年かかった。第一京浜と桜田通りを結ぶ区間は地下トンネルの車専用道だが、地上は人を優先させたコミュニティ型道路として表参道やパリ・シャンゼリゼ通りのようなオープンカフェのあるにぎわいを目指す。
▼現地は、おじさんたちが集まる新橋・飲み屋街裏手の脇道。これまで沿道は放置状態だったが、開通を機にようやく動き出す気配が見える。これにあやかって売り出すのはいいが、海外の街を真似たような名前を付けるのだけはご免被りたい。偽物が横行する時代に後戻りするようで、東京の魅力が安っぽくなってしまう。