NTTコミュニケーションズ(以下・NTT、東京都千代田区)と、パナソニック システムソリューションズ ジャパン(以下・パナソニック、東京都中央区)は、NTTが4月に開設した研究施設『CROSS LAB for Smart City』で6月から共創を始めた。本人確認を行う顔認証を「統合ID」として、建物の入退室の管理や、これに連動して室内の照明や空調を制御できる仕組みを実証実験し、スマートシティの世界観を具現化する。
具体的には、様々なデータを連携・利活用できる基盤の1つであるNTTの『SmartData Platform for City』と、ディープラーニング(深層学習)を応用したパナソニックの『顔認証 入退セキュリティ&オフィス可視化システム KPAS(ケイパス)』を連携する。入退室の情報と連動し、そのタイミングや人物の属性に合わせて快適な室内環境になるように、照明や空調を自律的に制御する(イメージ図参照)。
顔画像情報にひもづく情報を「統合ID」として管理することで、入退室の際に利用者は、IDカードの紛失などセキュリティ面のリスクを低減できる。施設の管理者側もカメラや認証端末を設置するだけで、顔認証技術による本人確認ができ、施設運営の利便性の向上に期待できる。
今後の利活用事例では、オフィスビルのエレベーターへの適用がある。入館時の顔認証により、個々の行き先階を判定。昇降状況を効率的に制御して待ち時間を短縮し、密を回避する感染防止対策にも役立つ。また、イベント会場などへの入退場時や決済などを非接触に手続きし、混雑を解消できるようにする。
6月8日に行った報道機関向けの説明会で、NTTのスマートシティ推進室長の塚本広樹氏は、「リアルな街のデータを仮想空間に収集して分析する〝デジタルツイン〟の最新技術をリアルな空間に還元する。スマートシティの社会実装を目指す」、パナソニックのマーケティング課長の寺木毅氏は、「どこにいても顔認証でつながる世界を創造する。新たな価値やサービスを提供していく」と説明した。