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大言小語 情報は分析力が欠かせず

 英国の君主として70年在位した後に死去した女王エリザベス2世の国葬が9月19日に執り行われた。約2000人が参列、うち約500人が各国の元首や首脳らである。女王死去で昭和天皇が崩御した当時を思い起こした人も少なくないと思う。

 ▼一国の君主、元首の死去が報じられると、その国がどのように統治されていたのかや、国民性などが透けて見えてくる。今回の英国の場合は、テレビを通じた市民の声だけから想像するに王室と国民の距離感が近いことが伝わる。世界には様々な国があり、その国家体制も様々だ。立憲君主制、君主制、共和制、専制。そうした中で言論の自由がなく、権力者がメディアを検閲して情報統制する国は珍しくない。

 ▼だが現代はインターネット社会だ。情報発信はメディアの専売特許ではなくなり、スマートフォンなどの端末を使い個人が好きなように発信できる。情報統制をしても完全に覆い隠すことはできない。今のロシアがそうだ。SNSを通じ大衆が情報を拡散した11年のアラブの春も思い起こされる。

 ▼情報の取り扱い方次第で好転も暗転もする。それはビジネスでも同じだ。本紙読者には釈迦に説法であるが不動産業は情報産業である。土地や建物の売りと買いの情報をいかに集めるかが生命線だ。権利調整をして街づくりに発展させることは不動産事業者の醍醐味だが、地上げは周辺情報を集めてその分析が明暗を分ける。