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彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇132 未来はわからない 好評だったRESAセミナー 伸びる街、衰退する街

 AIによる社会の変化、少子高齢化がもたらす老後の生活不安、大地震や自然災害の激甚化など今ほど、未来がどうなるか気になる時代が過去にもあったのだろうか。それとも、未来への希望や不安はいつの時代も同じだろうか。

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 人口減少による市場の縮小が見込まれる不動産業界では、今後発展する街はどこか、これからの若い世代はどういう街に憧れるのかに大きな関心を寄せている。

 そのためか、不動産総合戦略協会(RESA、大木祐悟理事長)が6月17日に開いた「マーケットの専門家から見た伸びる街、衰退する街」と題した第3回RESAセミナーは業界関係者の強い関心を集めた。

 講師は『第四の消費』『下流社会』『首都圏大予測』などの著書で知られる三浦展氏。三浦氏は今の若い世代(主に女性)が住みたいと考える街の要件として次の3点を挙げた。

 (1)多様な機能(店や会社)があって雇用が生まれやすいこと(2)女性が子連れでも楽しめる夜の娯楽があること(3)いろいろな人と出会えて助け合えるシェアハウスのようなコミュニティがあること。また、女性ほど都心に住みたがる傾向が強いことも指摘した。

 一方、4月24日には人口戦略会議(三村明夫議長)が消滅可能性のある自治体についての新たな発表を行った。

 消滅自治体とは20年からの30年間で20~39歳の女性人口が半数以下になる自治体のことだが、10年前に日本創成会議(増田寛也座長)が発表したときは896の自治体が該当したが、今回はやや改善され744となった。

 今回の調査で消滅可能性から脱却できた自治体が239もあったのに対し、新たに該当してしまった自治体は99にとどまっている。更に、消滅可能性があることは変わらないものの、若年女性人口の減少率が改善した自治体が362に対し、悪化は283となっており、ここでも人口減少傾向が緩和した結果となっている。

 ただ、前回は震災があった福島県を除外していたことや自治体のカウント方法に若干の違いがあり楽観はできない。レポートも「前回に比べ外国人の入国超過数が大きく増加したことも影響しているが、実態として少子化基調は全く変わっていない。女性の出生率は前回よりも低下しており、楽観視できる状況にはない」と警告する。

止まらない人口減

 この人口戦略会議の調査結果についてRESAの大木理事長はこう語る。

 「今後の人口回復策次第では更なる改善も期待できる。中心市街地の活性化や子育て世帯の誘致が多くの自治体で検討されているし、好評でもある。ただ、それらの施策がすべて成功するとは思われない。なぜなら数少ない成功事例の焼き直しが多く、他の自治体とほぼ同じ施策のアピールに過ぎないようにも思われるからだ」

 しかし、だからこそ「それぞれのまちづくりや町の活性化については三浦氏のような〝マーケット〟をベースにした分析が必要」ということではないか。講演後の参加者アンケートも好評だった。

 人口減少は確かに日本の未来を脅かす大問題である。消滅を避けようとする努力が結局は自治体間の人口の奪い合いでしかないとしたら、解決方法としては自治体の統廃合しかないだろう。もちろん東京一極集中の改善や、日本で生活する外国人の数を増やすといった方法もあるが、その成否どころか実践されるかどうかさえ危うい。

 結局、未来のことは分からない。そうならば未来のことばかりに気を取られるのをやめ、人間としてどういう生き方が幸福かを考えることも大切だ。住みたい街の条件としてコミュニティが挙げられていたように人は結局、身近な人同士が助け合い、気遣いながら暮らすことに喜びを感じる生き物である。ならば、そういう暮らしを楽しむ中にこそ、未来への答えも隠れているのではないだろうか。