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大言小語 熱を冷ます

 昨夏は東京都で35度以上の猛暑日が過去最高の22日を記録するなど、統計開始以降最も気温の高い夏と発表されたが、今夏もそれに匹敵する印象だ。こまめな水分補給はもとより、日傘や首の冷却タオルなどのアイテムも活用したい。バカンスを楽しむ前に、安全第一の過ごし方が最優先と感じる。

 ▼気をつけるべきは、外出時だけではない。総務省によれば、23年の熱中症による救急搬送者の発生場所の実に4割は「住宅」だ。住宅と健康の関係に詳しい慶応大の伊香賀俊治名誉教授は、熱中症にならないための目安として「室温28度以下、湿度70%以下」を挙げ、室内における温度と湿度管理の重要性を指摘する。光熱費の高騰や省エネの観点から室内冷房の使い方が気になるが、リクルートの住まい領域の調査研究機関は、熱中症予防も省エネも共に実現できる「断熱性能の高い住宅」が注目されているとし、24年トレンドのキーワードとして「断熱新時代」を選んだ。

 ▼国交省の推計では、日本の既存住宅約5000万戸のうち約9割が省エネ基準を満たしていない状況だ。断熱建材を用いたDIYや「窓」の高性能化を促す補助金制度など、断熱改修の進展は今後も期待される分野となる。暑さを克服する日常の工夫が必須だ。余談だが、我が家では鈴虫を飼育している。7月後半、10匹ほどが鳴き始めた。りんりんりんと鈴を振るような羽擦り音に、涼を感じる季節でもある。