1953年(昭和28年)創業の池袋を代表する老舗酒場である。創業当時はバラック、現在はビルとなったが、商売の姿勢は創業時と変わらないという。池袋西口の東武百貨店と東京芸術劇場に挟まれた駅前ディープゾーンの2本の路地に面している。
店舗は鰻の寝床のように細長く、1階と2階は細長い平面に合わせて30人以上は座れそうな細長い「ロの字型カウンター」が特徴だ。そして年中無休、朝は8時半から夜11時まで営業(日曜は12時から夜7時半)、朝はモーニングサービスもあり、「朝から飲める酒場」としても知られる。かつて夜勤明けの工場労働者が多かった時代の名残だろうか。最近、若い世代に人気の池袋だが、「酒場ふくろ」には若者は少なく、いつも仕事帰りの中高年サラリーマンでカウンター席は一杯だ。ベテランのおばちゃん店員の優しい笑顔のためだろうか、店全体の空気は穏やかで温かい。壁全面に貼られたメニューを見ると、品ぞろえは豊富でどれも安い。メニューから少し紹介。瓶ビール大瓶610円、大生ビール大610円、焼酎瓶詰340円、ホッピー280円、ハイレモン260円など。一品料理は書ききれない程だが、野沢菜、枝豆、麦味噌大根漬。冷やし茄子奴、サーモン塩辛、にこごり、なめ茸おろし、ホタルイカ塩漬け、みょうが天ぷらなど400円前後。にしん焼き、鯖文化干し焼き、ホッケ焼き、イワシ丸干し、焼たらこなどの焼き物は500円前後。馬刺し、まぐろブツ、まぐろ刺し、生ダコ刺し、鰤刺しなどの海鮮は600~800円。そのほか、梅きゅう、目玉焼きハムエッグ、餃子、マカロニサラダなどの居酒屋定番メニューも豊富だ。毎月8日は料理全品半額デーとのこと。
筆者は池袋に出ると、時々この酒場に寄るが、カウンター席に座って、笑顔の絶えないおばちゃん店員や常連らを眺めホッピーなど飲んでいると、なんとも幸せな気持ちになる。(似内志朗)